2012 Fiscal Year Research-status Report
がんウイルスEpsteinーBarr Virusに対する新規分子標的薬の開発
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23590134
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野口 耕司 慶應義塾大学, 薬学部, 准教授 (80291136)
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Keywords | 抗ウイルス薬 |
Research Abstract |
本研究課題では、ヒトがんウイルスEpstein-Barr virus/EBVに対する新規分子標的薬の開発を目指している。具体的には、DNAに結合するピロールイミダゾールポリアミド化合物に着目し、EBV発がんに重要なEBNA1蛋白質のDNA結合を抑制する抗EBNA1阻害剤の開発を目的とする。 本年度は、OriP DNA配列に結合してEBNA1の機能を阻害する化合物の開発を目指し、その結果、マイクロモルオーダーでのポリアミド化合物とoriP DNAとの結合が確認された。さらにEMSAアッセイにより、その条件では一つのポリアミド化合物に、EBNA1-DNA結合の阻害活性が認められた。 EBNA1のDNA結合に対する阻害活性が見いだされた化合物については、その標的となるDNA塩基配列を確定させるために、in vitroのFootprinting assayを行い、確かに目的の標的配列に結合している事が判明した。類似の構造のポリアミドでも検討したところ、標的となる塩基配列はそれぞれ予想通りEBNA1が結合するであろうと思われる配列であったが、その結合力に違いがあることが明らかになった。数種のポリアミドの標的DNAの結合力は、EBNA2とDNAの結合を阻害する活性の強さと相関が見られた事から、これらのポリアミドは、競合阻害によりEBNA1とDNAの結合を抑制していることが推測される。また、EBNA1の結合サイトではあるが、塩基配列が少々異なるsite 1~4についてもEBNA1-DNA結合に対するポリアミドの阻害能力も検定したところ、理論的に100%マッチする塩基配列をもつオリゴDNAに対する阻害効果が最も強かった事から、DNAとポリアミドの結合力が、その阻害効果に極めて需要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載のある通り進行しているが、さらに次のステップの予備実験として、合成したポリアミドの細胞毒性、EBV感染細胞における影響について、試験を進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験で、EBNA1とDNAの結合を阻害するポリアミドが合成出来た。しかし、これらの実験はin vitroのチューブ内の話であるので、今後は、ポリアミド化合物による抗EBNA1活性、抗EBV活性の細胞レベルでの薬理評価実験を遂行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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