2011 Fiscal Year Research-status Report
ビタミンD受容体のポケット構造を制御するリガンドの戦略的創製
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23590135
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
山本 恵子 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (90147017)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ビタミンD / ビタミンD受容体 / アナログ / 結晶構造 |
Research Abstract |
当該年度は、ブチル基を収容するビタミンD受容体のキャビティ(ブチルポケット)の構造を制御するビタミンD誘導体を合成することを計画した。ブチルポケット側の構造変化を引き起こす化合物として、n-ブチル基以外の置換基を導入したリガンド候補化合物を、モデリングソフトSYBYLを用いて設計し、22位にエチル基を導入し、側鎖末端にジエチル基をもつ誘導体およびその類縁体を合成することにした。A環は、天然ビタミンDのもつトリエン構造より安定で合成容易な2-メチレン-19-ノル型とした。合成はA環部とCD環部をWittig-Horner反応でカップリングさせた後、目的の部位を修飾することで達成した。合成した化合物の受容体への結合親和性をトリチウムラベルした活性型ビタミンDとの競合的結合実験により測定した。その結果、合成化合物はいずれも高い受容体親和性を示した。標的遺伝子転写活性を測定した結果、いずれもアゴニスト活性を示した。更に、ビタミンD受容体のリガンド結合領域と合成化合物の複合体のX線結晶構造解析も試みた。22-エチル化合物の結晶構造は現在解析中である。類縁体の一つである22-ブチル-24-ジエチル化合物の結晶構造解析には成功した。その結果、ビタミンD受容体にブチルポケットが形成された場合、C末端のヘリックス12とリガンドの相互作用が、アゴニスト・アンタゴニスト作用発現のメカニズムに大きく影響を与えることが明らかになった。また、ブチルポケットが形成された場合、側鎖末端のジエチル基が受容体のポケット構造を安定型に保つことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
22位への置換基導入はエチル基のみ達成したが、それ以外は現在も検討中である。ビタミンD受容体と合成リガンドの結晶構造解析は当初の予定より早く進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に計画した22位へフェニル基、ベンジル基、イソプロピル基を導入した化合物の合成を引き続き行う。また、24年度は、b-シート側の構造可変部位の構造を制御する化合物を合成する。現在までに、多数のA環アナログが合成されているが、b-シート側の構造を変化させている化合物は知られていない。申請者はA環周辺、特に2位、3位、4位周辺またはseco-B環を修飾したならばb-シート側の構造を変化させることができるのではないかと考えている。そこで、モデリングソフトSYBYLを用いてb-シート側の構造を変化させるA環およびseco-B環修飾化合物を設計する。A環およびseco-B環修飾化合物を合成する。合成した化合物の受容体結合親和性は、リコンビナントで発現させたヒトVDRへの一定濃度の[3H]-1a,25-(OH)2D3存在下で、濃度を変化させて合成リガンドを加え、competitive binding asssay法により測定する。結合した場合、遺伝子転写活性等を測定し、生物活性スペクトルを明らかにする。合成した化合物と受容体のX線結晶構造解析を行いポケット構造の変化を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
合成原料となる化合物、合成試薬、アッセイ試薬などの物品費を中心に使用する。成果発表などの旅費にも使用する。
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