2011 Fiscal Year Research-status Report
再生医療を志向した幹細胞分化を誘導する化合物の創製と脳神経変性疾患治療薬への応用
Project/Area Number |
23590136
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Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
須原 義智 横浜薬科大学, 薬学部, 准教授 (30297171)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ビタミンK / メナキノン-4 / 脳神経変性疾患 / アルツハイマー病 / 再生医療 / イソプレノイド / ニューロン / 分化誘導活性 |
Research Abstract |
我々はこれまでに化合物スクリーニングによって、脂溶性ビタミン類がマウス由来の脳神経前駆細胞をニューロンやアストロサイトへ分化誘導させることを明らかにしてきた。この知見を基に我々は「再生医療」の実現化のため、脳内の神経幹細胞の分化を制御してニューロンへの分化を強力に誘導する低分子化合物を創製し、脳神経変性疾患の治療へ応用する研究を発案した。 脳に内在する脂溶性ビタミン類のうち、特にビタミンK同族体のひとつであるメナキノン-4は、脳神経幹細胞をニューロンに分化誘導することが我々の研究によって明らかにされている。そこで我々はまずビタミンKに着目して、その側鎖部分を修飾した各種の誘導体を合成することにした。具体的には、側鎖部分のイソプレン構造の繰り返し単位を変化させ、側鎖末端部分にフェニル基やナフタレンなどの官能基を導入して脂溶性を高めた化合物をデザイン・合成した。合成方法は側鎖部分とナフトキノン環部分を別々に合成して、それぞれをカップリングする方法で行った。このようにして得られた化合物について、マウス胎児大脳由来の神経幹細胞をニューロンへ分化誘導する活性を調べた。その結果、イソプレンの繰り返し構造がメナキノン-3と同様で、かつ側鎖末端部分にフェニル基の構造を有するものに最も高いニューロンへの分化誘導活性が認められた。したがって、側鎖部分の長さはメナキノン-3に近いものが、また側鎖末端部の大きさはフェニル基に類するものが良いことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標であった化合物ライブラリーの一部を作製することができた。今回は側鎖末端部に脂溶性の官能基として、ベンゼン環を基にした各種の置換基を導入することで脳神経に対する作用の増強を狙った。また、すでに脳神経前駆細胞をニューロンに分化誘導する活性をもつことが明らかとなっているビタミンK同族体(メナキノン-4)をリード化合物として構造修飾を行うことにより、天然体より強い活性を持つ誘導体を数種類見出すことができた。一方、脳神経幹細胞からニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトへの分化誘導活性の評価方法も、マウス胎児大脳由来の初代培養細胞を用いた蛍光染色法により定量する方法を開発することができた。これらのことから、我々の研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回までに得られた知見を基に、ビタミンKをリード化合物としてさらに構造修飾を行った誘導体の化合物ライブラリーを作製し、より強力な分化誘導活性をもつ化合物を見つけ出していく予定である。具体的には、今回は側鎖末端部分を修飾した化合物をターゲットにしていたが、今後は側鎖部分を他の構造体に置き換えて簡略化したものや、ナフトキノン環部分を修飾した誘導体をデザイン・合成する予定である。また、分化誘導活性の測定方法においては、これまでにマウス胎児大脳由来の初代培養細胞以外に、株化細胞を用いた実験系も検討し、より簡便に活性評価ができる評価系も立ち上げたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は主に消耗品として合成用試薬、合成用ガラス器具類、細胞培養用器具類などに使用する予定である。また、研究成果を発表するための費用として、学会での成果発表のための国内旅費や論文誌への投稿費用、その他研究を進めるにあたって必要なサンプル輸送代などの通信費として使用することを計画している。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Structure-Activity Relationship of Novel Menaquinone-4 Analogues: Modification of the Side Chain Affects their Biological Activities2012
Author(s)
Suhara, Yoshitomo; Hanada, Norika; Okitsu, Takashi; Sakai, Miho; Watanabe, Masato; Nakagawa, Kimie; Wada, Akimori; Takeda, Kazuyoshi; Takahashi, Kazuhiko; Tokiwa, Hiroaki; Okano, Toshio
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Journal Title
J. Med. Chem.
Volume: 55
Pages: 1553-1558
DOI
Peer Reviewed
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