2013 Fiscal Year Research-status Report
生理活性天然物をシード化合物とした新規抗生物質の創薬研究
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23590139
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
広川 美視 大阪大谷大学, 薬学部, 准教授 (40454582)
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Keywords | 創製研究 / 抗生物質 / 天然物 |
Research Abstract |
昨年合成した化合物の中で、スペーサー部位にピペラジン環を持ち、結合様式にカルバメートを持つ化合物2塩酸{4-[3-〔6-(3-アミノピロリジン-1-イル)-9H-プリン-9-イル〕メチルオキシカルボニル]ピペラジン-1-イル}酢酸ムチリン14-エステルは、アミドを結合様式に持った同様の化合物に比較して多剤耐性菌S. aureus KMP9に対する抗菌活性を約10倍増強していた。また、カイコを用いたin vivo抗菌活性評価において、この化合物のED50値が2.0 mg/kgと良好な活性を示していたが、ED50/MIC=51と体内動態を若干改善する必要があった(既存抗菌薬のED50は0.3ー10mg/kg、MIC比は10以下)。そこで、今年度はスペーサー部位にピペラジン環、結合様式をカルバメートに固定した化合物を合成し、in vitro 及び in vivo 共に強い抗菌活性を持ち、且つ体内動態に優れた化合物の探索研究を行った。 これまでの研究結果より、in vivo活性はプリン環に導入する置換基(2位アミノ基や6位ヘテロ環等)の影響を受けることから、プリン環上の置換基を変換した化合物を種々合成し活性を評価したところ、in vitro 抗菌活性及びin vivo 抗菌活性ともに強く、体内動態の指標としているED50/MICが11~15を示す数種の化合物の合成に成功している。ほぼ全ての合成化合物において、良好な水溶性が担保されていることを付け加えておく。 今年度は特許出願に向けて研究成果をまとめる準備をしていたが、合成主化合物が先願特許のクレームの範囲に入っていることが判明したためこれまで合成してきた化合物による特許取得は断念し、新規性・進歩性があり特許取得可能な化合物の合成を検討中である。また、ICAAC及びメディシナルケミストリーシンポジウムにてポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スペーサー部位にピペラジン環、結合様式をカルバメートに固定した化合物を合成するための中間体1-(6-クロロプリン-9H-9-イル)メチル4-ベンジルピペラジン1、4-ジカルボキシレート、並びに1-(2-アミノ-6-クロロプリン-9H-9-イル)メチル4-ベンジルピペラジン1、4-ジカルボキシレートの合成を行ったところ、6-クロロプリンまたは2-アミノ-6-クロロプリンと1-クロロメチル4-ベンジルピペラジン1、4-ジカルボキシレートとの反応において各々約60%の収率で目的とする中間体の合成に成功している。その後の目的物合成は、各工程において高収率で合成できている。プリン環上の置換基が判明している場合の効率的合成法も検討できており、プリン環6位にヘテロ環を導入したのち1-クロロメチル4-ベンジルピペラジン1、4-ジカルボキシレートとマイクロウェーヴ照射下反応させることによりほぼ定量的に合成できることもわかった。合成したほぼすべての化合物は、黄色ブドウ球菌感受性菌及び多剤耐性菌に強い活性を持ち、その中で特に高活性な化合物において、カイコを用いた in vivo 抗菌活性評価したところ、臨床分離黄色ブドウ球菌感受性菌(MSSA1)を指標としたED50値が、2.0~15 mg/kg,ED50/MIC=11~67 と治療効果が期待できることがわかった。 但し、特許出願に至らなかったため、この点においては遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
合成新規化合物の活性評価を外部機関に依頼しており、その結果が得られ次第この研究課題の成果をまとめ報告する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
合成した新規化合物の抗菌活性評価は、黄色ブドウ球菌感受性菌においてin vitro活性評価を行った後、強い活性を示した化合物の多剤耐性菌(MRSA)に対する抗菌活性およびin vivo活性評価を外部の研究機関に依頼している。評価結果が届くまでに2か月以上要するため、年度末に間に合わなかった。 抗菌活性評価外部委託金(謝金:46万円)及び消耗品
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Research Products
(2 results)