2011 Fiscal Year Research-status Report
核内受容体の作用分離を指向したレチノイン酸アナログの開発
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23590141
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
和田 昭盛 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (80158683)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 9cis-レチノイン酸アナログ / ヘテロダイマー / クロスカップリング / テルペン誘導体 / ビニルトリフラート / スズオレフィン / RXR |
Research Abstract |
レチノイン酸の疎水性ユニットであるシクロヘキセン部を脂肪族環式構造に変えること、あるいは立体的に嵩高い置換基を導入した複素環を用いた誘導体を設計すればリガンド分子のL字型コンホメーションを維持し、かつ受容体とリガンド分子との相互作用を誘起でき、更には、立体的な嵩高さの度合いによりRARやRXRへの結合選択性が性を引き出すことにより生理作用の分離も可能となるものと予想しアナログ合成をおこなった。まず、シクロヘキセン環をテルペン由来の環構造をとる9-シス-レチノイン酸アナログの合成をおこなった。テルペノイド由来のアルコールを酸化してケトンとしたのちトリフラート体へと誘導した。つづいて、文献記載の方法で合成したテトラエニルスズエステルとのカップリング反応を、我々の開発したフッ化セシウムを用いた条件で行ったところ収率よく目的化合物を得ることができた。最後にアルカリ加水分解を行い、9-シス-レチノイン酸アナログへと誘導することができた。 今回合成したアナログ化合物について、RARおよびRXRへの転写活性を測定したところ一部の化合物では、RXR選択性が高くなっていることが判明した。現在サブタイプ選択性についても見られるかどうかの生理活性試験を検討している。更に、この結果を基に、レチノイン酸のシクロヘキセン環と続く二重結合部分をテルペン骨格とベンゼン環が縮環した化合物に置き換えたアナログ化合物の合成を検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画当初に想定した化合物は3種類であり、そのうちの1種類であるテルペン骨格をもつ誘導体については、様々なテルペンを原料として誘導体合成を達成できたことから、合成法を確立することができたものと考えている。第2に想定したテルペン骨格とベンゼン環が縮合しアナログ化合物合成では、ただ1種類の化合物の合成ができたのみである。今後、他の誘導体へと応用可能か検討し、合成法を確立することが肝要と考えている。第3の化合物である複素環とベンゼン環が縮環した化合物についてはいまで手がついていない状況である、まず、基礎的な縮環した化合物の合成法を確立することが課題である。 生理活性の測定としては、核内受容体RARおよびRXRの転写活性を中心として測定した。合成した化合物の中から、RXR選択的に活性の高い化合物を2,3見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
第2に想定したテルペン骨格とベンゼン環が縮合しアナログ化合物合成では、テルペンから誘導したケトン体とメチルビニルケトン誘導体とののロビンソン環化反応の収率が低いので、溶媒、反応温度、添加物としてのルイス酸等を変更し、収率の改善をはかる最適法を探すと共に、大量合成も可能な合成法を確立していく予定である。複素環とベンゼン環を縮環した化合物については、ヒドロキノンから各種置換基をもつモノプロパルギルエーテル化合物を合成し、ヨード環化反応を検討しスピロ体と縮環した化合物の選択性がどうなるかを、置換基効果や反応条件を変更し、の依存性を明らかにする。更に、縮環化合物を利用したレチノイン酸アナログへの誘導を達成する。 生理活性については、核内受容体の作用分離が可能な化合物かどうかを判定するために、新たにサブタイプ別の活性測定や異なるヘテロデイマーに対する活性を測定していく予定である。更に、それらの結果を、コンピュータを用いたドッキングシュミレーションを行い、活性の違いをタンパク質との相互作用に観点から説明できるか検討する。 最後に、これらの結果をもとに新たな作用分離を指向したレチノイン酸アナログ化合物の設計と合成を実施してく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度において、本研究に必要と想定した3種類の化合物のうちの2種類については、合成することができた。今後は、より数多くの誘導体を効率よく合成することが必要となってくるため、反応条件を種々検討するため、試薬の種類の増加、溶媒等の大量使用の必要性が見込まれる。したがって、大部分(8割程度)の費用としては、消耗品の購入にあてる予定である。 また、研究成果の学会やシンポジウムの発表のための旅費と、雑誌への投稿費や別刷り用費用として、それぞれ1割ずつ程度を充てるつもりである。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] An active photo-receptor intermediate revealed by in-situ photo-irradiated solid-state NMR spectroscopy2011
Author(s)
Tomonaga, Y.; Hidaka, T.; Kawamura, I.; Nishio, T.; Ohsawa, K.; Okitsu, T.; Wada, A.; Sudo, Y.; Kamo, N.; Ramamoorthy, A.; Naito, A
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Journal Title
Biophys. J.
Volume: 101(19)
Pages: L50-L52
DOI
Peer Reviewed
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