2012 Fiscal Year Research-status Report
新たな天然薬用資源としての高等植物の潜在的二次代謝能の顕在化とその応用
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23590146
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
黒崎 文也 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 教授 (70143865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 康夫 富山県立大学, 工学部, 教授 (20254237)
荻田 信二郎 富山県立大学, 工学部, 准教授 (50363875)
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Keywords | 植物 / バイオテクノロジー / 物質生産 / 遺伝子 / 有用資源 / 情報伝達機構 |
Research Abstract |
平成24年度の研究実績は、Aquilaria microcarpaの培養細胞を材料に用い、情報伝達関連遺伝子としクローニングしたcalmodulin遺伝子Am-cam2に加えて、2種類のRac/Rop GTPase遺伝子のホモログ(Am-rac1、Am-rac2)のうちセスキテルペン生合成の誘導にかかわると思われるものとしてAm-rac2を選抜した。更に、site-directed mutagenesisの手法によって、Am-rac2の塩基配列に変異を導入し、その翻訳産物であるタンパクにGTPまたはGDPが結合したままとなるconstitutive active (CA)とdormant negative (DN) の2種類のmutated geneを構築した。これらのAm-rac2及びその変異導入遺伝子を、レポーターとしてGFPを含む発現ベクターに組み込み、培養細胞への遺伝子導入を行った。導入遺伝子の発現に関してはそれぞれの遺伝子を特異的に増幅するプライマーを用いたRT-PCRにより検討し、また、タンパクの発現レベルでは培養細胞にGFPの蛍光が観察されることで確認した。このように、A. microcarpaの培養細胞に、それぞれの遺伝子が的確に導入され、対応するタンパクを生成していることを明らかにした。現在cephotaxime、kanamycine添加培地上での培養による組み換え体の選抜を行っており、mutant strain の確立が間もなく完了する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成23-24年度はAquilaria属植物のセスキテルペン生合成をモデルとして、まず、細胞内Ca関連試薬による処理によりテルペン生合成関連遺伝子の転写活性が上昇することを確認し、次いで、様々な情報伝達関連阻害剤を用いた実験により、Caに加えてRac/Rop GTPaseやユビキチンープロテアソームによるタンパク分解系が寄与することの確認が目標であった。組換え植物の作製は、本来、平成25年度に取り掛かる予定であったが、Rac/Rop GTPaseに加えてpositiveあるいはnegativeに修飾した変異遺伝子の作成を行った上で発現ベクターの構築を完了した。更に、組み換え体の作成を既に終え、間もなく選抜が完了するところまで進展させることができた。これらの理由から、本研究の達成度は現時点で「当初の計画以上に進展している」と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、平成23年度の基礎的な実験の結果を基盤として24年度に作成を手がけた「情報伝達系を改変した組換え植物」のmutant strain の確立を最優先とする。既にRT-PCRやGFPの蛍光の観察などによって、すべての遺伝子組み換えが期待通りに行われたことを確認していることから、今後はセスキテルペン生合成のメルクマールとして設定したAm-FaPS1の発現量をそれぞれ比較・検討することを予定している。これら一連の実験を通してcalmodulinやGTPase遺伝子の導入・過剰発現がテルペン生合成能に及ぼす効果について検討し、情報伝達系を改変するという方法論によってジャスモン酸の作用を代替し潜在的生合成活性の誘導が可能か否かを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度以降の研究費の使用項目は、本年度あるいは昨年度と同様に、遺伝子関連試薬の購入が主であって、設備備品の購入予定はない。研究分担者への分担金に残が生じたが、小額であって、特に計画に変更を要するものではないと判断している。研究計画として、これまでの生合成酵素遺伝子の発現レベルの解析に加えて、二次代謝活性の評価として標的化合物を分析する可能性があることから、HPLCカラム及び溶媒等の分析関連消耗品についての支出を予定している。また、先に述べたように、当初の計画以上に研究が進展していることを受けて、しかるべき学会で成果を発表することを目指し、研究費の一部を学会参加費に当てる予定である。また、論文投稿にあたっての英文校閲費用、並びに、実験補助としての謝金の支出を想定している。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Accumulation of sennosides in leaflets, flowers and fruits of Cassia alata.2012
Author(s)
Taniguchi, Y., Tajika, H., Takao, Y., Tatsuo, Y., Yamamura, Y., Kurosaki, F., Fujino, H., Setoyama, T. & Nakazawa, M.
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Journal Title
Jpn. J. Pharmacognosy
Volume: 66
Pages: 77-80
Peer Reviewed
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