2013 Fiscal Year Annual Research Report
多剤耐性菌出現リスクを回避するための溶血性連鎖球菌専用抗生剤の開発
Project/Area Number |
23590147
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
田中 幸枝 福井大学, 医学部, 助教 (10197486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 豊 福井大学, 医学部, 教授 (80211522)
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Keywords | NADase / SNI |
Research Abstract |
本年度は,24年度に作製済みの有効な変異体グループ1(DNM1 group)の作用機序を解析し,その結果を踏まえてより効果の高い変異体の作製を試みた.弱い中和抑制活性を示したDNM1 groupは,野生型のSNI-NADase間相互作用を変異体NADaseと野生型SNIの相互作用によって置換し中和を抑制すると考えられた.しかし,置換効率が低くトータルとして弱い抑制活性しか示さず抗菌作用を示すには不十分であった.これは相互作用に重要なアミノ酸に変異を施した変異体は野生型と比較して相互作用効率が低下するため,競合阻害効果が優勢にならないと考えられた.そこで,相互作用を低下させず中和を抑制できる新たなdominant negative NADase変異体の作製を試みた.相互作用を低下させないように相互作用領域外にのみ変異を施し中和抑制活性を検討した.しかし,再び抑制活性の弱い変異体グループ(DNM2 group)しか得られなかった.作用機序を調べたところ,前述の変異体(DNM1group)と同様に変異体NADaseによるSNIの相互作用効率が低く弱い抗菌作用しか認められなかった.この結果から,予想された領域以外にも相互作用に関与する領域が存在することが推定された.すなわち,SNIの機能を完全に抑制するためのdominant negative NADase変異体の作製は,Craig L. Smithらの報告(Structure 19,192-202,2011)に加えてさらなる考慮が必要であると考えられた.これに加えて,多様な生物資源からNADaseの中和抑制活性を指標にSNIの機能阻害剤の探索も行った.その結果,カビ,キノコなどの抽出物に,NADaseの中和抑制活性が認められた.特にキノコ抽出物の分子量2000の化合物にNADaseの中和抑制活性が特定できたので,天然物からの探索も有効である可能性が示された.
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