2013 Fiscal Year Annual Research Report
薬用植物の活性酸素代謝機構に関する構造生物学的研究
Project/Area Number |
23590149
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森元 聡 九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60191045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉田 太郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (50391248)
安達 基泰 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (60293958)
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Keywords | パーオキシダーゼ / モルヒネ / バイカレイン / ケシ / コガネバナ / 活性酸素種 |
Research Abstract |
植物体内で発生した活性酸素種は、植物自身に強いストレスを与えることが知られている。多くの植物が、活性酸素種を解毒するシステムを有しており、パーオキシダーゼが解毒化反応に関わっていることが知られている。この解毒メカニズムを解明するために、モルヒネパーオキシダーゼ(MP-1、MP-2、MP-3)とバイカレインパーオキシダーゼ(BP-1およびBP-2)のX線結晶構造の解明を目指して様々な検討を行った。 MP-2については、カイコで発現した組換えタンパク質の結晶化を試みたが、適切な条件を見つけることが出来なかった。そこで、MP-2の大腸菌での発現を検討した。BL21を用いて発現を行った結果、MP-2は不活性の不溶性タンパク質として発現していた。そこで、この不溶化タンパク質を可溶化後、ヘミン存在下で巻き戻しを行ったところ針状結晶の獲得に成功した。現在、X線結晶解析に適切な結晶条件の検討を行っている。 なお、ケシにおいて過酸化水素の代謝に関与すると考えられる2種のパーオキシダーゼ遺伝子(MP-1遺伝子およびMP-3遺伝子)をクローニングしているが、両遺伝子についても大腸菌で発現を試みており、MP-2と同様不溶性タンパク質として発現した。MP-1については巻き戻しにより酵素活性の回復に成功した。極めて興味深いことにMP-1はMP-2と異なり、モルヒネを酸化できず、一般的なパーオキシダーゼの基質(ABTSなど)を酸化することが判明した。本酵素についても結晶化を試みている。 BPについては2種の遺伝子(BP-1およびBP-2)の発現を試みたが、カイコ中での組換え酵素の発現を確認できなかった。そこで大腸菌を用いて発現を検討したところ、両酵素とも不活性な不溶性タンパクとして発現したので、巻き戻しを行うことにより、活性パーオキシダーゼとして獲得することに成功した。現在結晶化を行っている。
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