化学物質の肝毒性発現におけるＮＭＤＡ型グルタミン酸受容体の役割に関する研究

2014 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 23590150
• Research Institution: University of Shizuoka
• Principal Investigator: 根本 清光 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (90189366)
• Project Period (FY): 2011-04-28 – 2015-03-31
• Keywords: NMDA受容体 / 肝臓 / 肝肥大 / 環境化学物質 / 肝がん細胞

Outline of Annual Research Achievements

本研究では、NMDA受容体2Cサブユニット（Grin2c）遺伝子の発現亢進とそれに伴うNMDA受容体の機能変化が、環境化学物質（医薬品、農薬、食品添加物を含む）の肝肥大誘発作用、肝発がん性といった肝毒性発現にどのように関わるかを明らかにすることを目的としている。
当該年度は、前年度からの継続で、HepG2細胞株やHuh-7細胞株などのヒト肝がん細胞株に、これまでのラット投与実験で肝Grin2c遺伝子の発現を亢進させた肝肥大誘発化学物質を処理し、Grin2c遺伝子の発現誘導性を検討した。しかし、誘導性を確認することは全くできなかった。このことから、1つには、Grin2c遺伝子の発現亢進は、肝肥大誘発化学物質の直接的作用で引き起こるものではなく、肝実質細胞以外の肝臓内細胞種から肝肥大誘発化学物質刺激により産生された何らかの因子が肝実質細胞に作用することにより引き起こる可能性が想定された。また、がん細胞あるいは株化細胞におけるGrin2c遺伝子は、化学物質に対して転写応答能を失ってしまった可能性も考えられた。
今後は、初代肝細胞や、種々肝臓内の細胞種を混合させた培養、肝細胞以外の非神経系由来細胞株などを用いて、Grin2c遺伝子の化学物質による応答性を検討する必要がある。