2012 Fiscal Year Research-status Report
p57KIP2による脂溶性ビタミンの生理活性制御機構の解明と応用研究
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23590153
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
高橋 勝彦 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (80307066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 正彦 星薬科大学, 薬学部, 助教 (40507670)
高橋 典子 星薬科大学, 薬学部, 教授 (50277696)
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Keywords | 細胞周期 / p57Kip2 / 胎盤 / 骨芽細胞 / 核内受容体 |
Research Abstract |
p57遺伝子欠損マウスは骨形成と胎盤形成の異常を顕著に示す。 まず骨の形成に着目してマウスの新生児から調製した骨芽細胞におけるp57とビタミンD受容体との関係を調べた。ビタミンD受容体の抗体を用いた免疫沈降法を行なったところ、沈降物にp57の検出を認めたことから、骨芽細胞ではp57はビタミンD受容体と複合体を形成していることが示唆された。p57欠損による骨形成の異常は、骨芽細胞におけるp57-ビタミンD受容体(VDR)形成の破綻によるVDRの機能不全が原因になる事が考えられた。 p57欠損動物で異常を示す器官(骨、胎盤)の形成では、細胞融合による多核化細胞の出現が必要であることから、細胞融合化に関わる分子のうち細胞膜局在分子ASCT2の発現レベルを検討した。胎盤分化モデル細胞で用いるヒト胎盤絨毛癌細胞株BeWo細胞におけるASCT2の発現レベルが、p57発現により有意に減少する事を見出した。p57は核内及び細胞質にも検出される事から、p57はASCT2の発現調節を転写因子の活性制御を通して抑制する可能性と、ASCT2の細胞内の挙動(安定性と移動)に関与する可能性が示唆された。 細胞周期制御因子としてのp57は、p53の機能制御にも関わる事を示唆する報告があることから、申請者はp53の安定性に関わるタンパク質の立体異性化酵素Pin1がp57に関与する事を想定し検討を進めている。現在、Pin1とp57との関連についての研究を培養細胞とマウスを用いた検討の両面から進めている。 p57の役割を核内外の両面から迫る事が、p57の脂溶性ビタミン応答に対する機能制御機構の解明繋がる事が期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度から引き続き、所属教室の方針から学生・院生の協力を仰ぐ事が叶わず、別の研究課題の指導で研究時間の大半を使った。また二度の入院を余儀なくされ、その間の本研究計画は実験者不在のため停止せざるを得なかった。 上記の状況を考慮すれば、計画書の目的のうち脂溶性ビタミンのうちVDRとp57Kip2との関係の検討を進める事ができ、また新たにグルタミン輸送体との関係にも迫る事ができたのは、大きな成果であった。 また、学外との共同研究体制の強化を計ったので、次年度への準備は充分できたものを自負している。
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Strategy for Future Research Activity |
教室の方針から院生・学生の協力は仰げないため、申請者自身の体調管理を最優先にすることで、日々の計画を遂行を実現していく。申請者の旧知の研究者との共同研究の体制を早々に再構築し、昨年度の遅れを取り戻すことで本計画の達成度の向上を図りたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、動物実験を主体とすることから前年度同様に動物維持費を100千円とした。前年度までのin vitroの実験は落ち着いてくることから、プラスチック製器具類に200千円、有機溶媒と無機塩合わせて150千円とした。抗体の補充に単価50千円のものを6として300千円を充てた。 その他、共同研究者との打ち合わせのための旅費に100千円を、更に最終年度につき印刷費・学会誌投稿費・研究成果発表費の計150千円を加えて申請をした。
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