2011 Fiscal Year Research-status Report
新規細胞膜エストロゲン受容体の作動薬の検索とその抗ストレス効果
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23590159
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
高橋 浩二郎 産業医科大学, 大学病院, 部長 (70389477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳原 延章 産業医科大学, 医学部, 教授 (80140896)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 植物性エストロゲン / 細胞膜エストロゲン受容体 / ダイゼイン / ゲニステイン / カテコールアミン / ノルアドレナリントランスポーター / 抗ストレス作用 |
Research Abstract |
本年度の研究計画は、細胞膜エストロゲン受容体に対する作動薬を探索し、その受容体作動薬によるカテコールアミン (CA) 神経系機能に及ぼす影響について検討することであった。まず、1)細胞膜エストロゲン受容体の作動薬を調べる目的で、副腎髄質から細胞膜を分離して、その細胞膜に対する[3H]17beta-estradiolの特異的結合に影響する植物性エストロゲンをスクリーニングした。その結果、大豆成分のゲニステインやダイゼイン、さらには葡萄の果皮成分で赤ワインの成分でもあるレスベラトロールが比較的低濃度で[3H]17beta-estradiolの特異結合を阻害した。2)ダイゼインやゲニステインによるカテコールアミン動態について培養ウシ副腎髄質細胞等を用いて検討した。その結果、ゲニステインは副腎髄質細胞でのノルアドレナリントランスポーター(NAT)の機能を促進したが、ダイゼインはその作用を示さなかった。同じ植物性エストロゲン作用のある両者の違いとして、前者はチロシンキナーゼ活性の阻害作用が有り、後者は阻害作用が無いことからゲニステインのNAT機能亢進機序としてチロシンキナーゼ活性の阻害作用が考えられた。特に、細胞膜受容体型のチロシンキナーゼ活性を阻害するチロホスチン25により抑制されることから、細胞膜受容体型のチロシンキナーゼを介している可能性が考えられた。3)ダイゼインは、それ自身でCA生合成を促進した。その機序として、細胞膜エストロゲン受容体を介する細胞外シグナル調節蛋白質リン酸化酵素(ERK)やサイクリックAMP依存性蛋白質リン酸化酵素の活性化、チロシン水酸化酵素のリン酸化及び活性化などによるものと思われた。一方、ダイゼインはACh刺激によるCA生合成及び分泌を抑制した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画に対して、ほぼ計画に沿って遂行された。当初の計画では、細胞膜エストロゲン受容体の作動薬を検索し、それら化合物のカテコールアミン動態に対する影響を検討することであった。上記で述べたように、大豆成分のゲニステインやダイゼインや葡萄の果皮成分で赤ワインの成分であるレスベラトロールが細胞膜エストロゲン受容体の作動薬となる可能性を示した。さらに、これらの化合物の中で、ゲニステインがノルアドレナリントランスポーター(NAT)活性を促進することから、心臓血管系の交感神経機能を抑制する可能性を示唆した。また、もう一方のダイゼインは、カテコールアミン動態に2相性に作用し、特にストレスによる反応を抑制する可能性を示唆した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として、前年度に調べた細胞膜エストロゲン受容体作動薬についてさらにスクリーニングを広く行い、より特異的な作動薬もしくは阻害薬を検索する。また、この細胞膜エストロゲン受容体作動薬の細胞内シグナル伝達機序、特にリン酸化シグナル反応や細胞内Ca2+濃度の変動などについて検討する。さらに可能ならば、細胞膜エストロゲン受容体に対する分子薬理学的検討を加えて、この受容体の特性やその遺伝子クローニングについても検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞内シグナル伝達測定キット試薬、細胞培養用試薬、放射性標識化合物などの消耗品に50万円、細胞膜受容体の遺伝子クローニング関係に34万円、実験動物関係等のその他費に20万円、さらに国際及び国内学会関係の旅費に30万円を計上する。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Impaired insulin signaling in endothelial cells reduces insulin-induced glucose uptake by skeletal muscle2011
Author(s)
Kubota T., Kubota N., Kumagai H., Yamaguchi S., Kozono H., Takahashi T., Inoue M., Itoh S., Takamoto I., Sasako T., Kumagai K., Kawai T., Hashimoto S., Kobayashi T. Sato M., Tokuyama K., Nishimura S., Tsunoda M., Ide T. Murakami K., Yamazaki T., Ezaki O., Kawamura K., Masuda H., Moroi M., Sugi K., Oike Y., Shimokawa H., Yanagihara N., Tsutsui M., Terauchi Y., Tobe K., Nagai R., Kamata K., Inoue K., Kodama T., Ueki K., Kadowaki T
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Journal Title
Cell Metabolism
Volume: 13
Pages: 294-307
DOI
Peer Reviewed
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