2013 Fiscal Year Annual Research Report
大腸がん新規薬物療法を目指したAhRリガンドの探索
Project/Area Number |
23590162
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
椎崎 一宏 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (20391112)
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Keywords | 大腸がん / AhR / βカテニン / CUL4B / 盲腸内容物 |
Research Abstract |
Wntシグナル伝達因子であるβカテニンの蓄積は、標的遺伝子の転写活性化を介して大腸がんに至る腺腫形成を起こす。AhRはリガンド依存的に薬物代謝酵素等の発現調節を行う転写因子であるが、AhR欠損(KO)マウスの盲腸がんの発症と、その原因としてAhRがβカテニンをリガンド依存的に分解することが報告された(Kawajiri et al., 2009. PNAS)。そこでAhR依存的なβカテニン分解を測定し得る系の作成と、大腸がん発症に抑制的に働くAhRリガンドの探索を試みた。既報に従いDLD-1細胞でのβカテニンの変化をwestern blot、TOPflash assayで測定したところ、AhRリガンドによる分解は観察されなかった。βカテニン分解に先立って起こるAhRとCUL4Bおよびβカテニンの結合をYeastおよびMammalian two-hybrid法、免疫共沈法により検討したが、いずれの方法でもこれらタンパクの結合は認められなかった。複数ロットのDLD-1細胞にてAhRの応答性をXRE依存的レポーターアッセイで検証したが、誘導にはAhRの強制発現を要したため、本細胞はAhRを発現していないと考えられた。以上の結果よりこの現象を再現することは不可能であると考えられる。 一方、AhR-KOマウス盲腸での自然発がんは既報どおりに再現された。そこで腸内細菌代謝物を対象にマウス盲腸内容物からAhRリガンドを単離することを試みた。通常飼育マウスおよびオメプラゾール(OME)を含む抗生物質投与マウスの盲腸内容物を固相抽出し、高感度化酵母AhRレポーターアッセイにより活性を測定した。盲腸内容物のリガンド活性は通常マウスおよびオメプラゾール投与動物に認められ、HPLCによる分画では、通常動物盲腸内容物には複数の画分に活性が、OME投与動物盲腸からはOME代謝物に起因する活性が認められた。
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