2012 Fiscal Year Research-status Report
カーボンナノチューブによる炎症応答とコレステロールによる制御の機構解明
Project/Area Number |
23590164
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
最上 知子 国立医薬品食品衛生研究所, 機能生化学部, 室長 (90174333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥平 桂一郎 国立医薬品食品衛生研究所, 機能生化学部, 主任研究官 (10425671)
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Keywords | ナノ材料 / カーボンナノチューブ / コレステロール / インフラマソーム / IL-1beta |
Research Abstract |
カーボンナノチューブはアスベストと類似した形状を持つことから健康への影響が懸念され、中皮腫誘発や動脈硬化促進の作用が報告されている。申請者は、多層カーボンナノチューブがマクロファージに貪食されると炎症性サイトカインIL-1βの産生を促進することを見出した。またこのIL-1β産生応答が細胞内コレステロール量により制御される予備的知見を得たことから、本研究ではそのメカニズムを解明することを目的とする。昨年度までに多層カーボンナノチューブによるcaspase-1の活性化とIL-1β産生にNLRP3を含むインフラマソームが関与することを明らかにした。 今年度はコレステロールによるIL-1β産生応答の制御について、各種のコレステロール合成阻害剤やシクロデキストリン処理で細胞コレステロールを低下させ検討を行った。まず、薬剤の溶媒にDMSOを使用するとその濃度や時間が、またTHP-1細胞の分化後の培養での血清濃度が多層カーボンナノチューブによるIL-1β産生応答に大きく影響することを見いだした。同一条件での再検討、また他の刺激によるIL-1β産生応答への影響を解析し、多層カーボンナノチューブによるIL-1β産生応答を抑制するコレステロール合成経路の過程を同定した。中間体の補充により阻害剤による抑制は解除されることを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、多層カーボンナノチューブによるIL-1β産生促進の応答へのコレステロール低下の影響を明らかにすることが目標であり、予定通り、応答制御に関わるコレステロール生合成の過程を明らかにすることができた。最終産物のコレステロールではなく中間代謝産物の量の低下がIL-1β産生を抑制することが示唆されることから、コレステロールを細胞外に排出するトランスポーターABCA1の役割の解析は取り止めた。
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Strategy for Future Research Activity |
多層カーボンナノチューブによるIL-1β産生応答のコレステロールによる制御について、メカニズムの解明を進める。コレステロール低下の作用点を明らかにするために、コレステロール合成経路の阻害剤や中間代謝産物を用いた検討をさらに進め、責任代謝産物を同定する。また(1)インフラマソーム構成因子やIL-1β前駆体の転写制御、(2)貪食からインフラマソーム活性化へのシグナル伝達の各過程、あるいは(3)オートファジーに及ぼす影響を解析し、影響を受ける過程を同定する。該当するプロセスを詳細に解析し、コレステロール代謝産物が多層カーボンナノチューブ刺激によるIL-1β産生を抑制するメカニズムを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の3月分の人件費(約35万円)の支払いを平成25年度に繰り越した。今年度においても、研究補助員の人件費(2ヶ月分、約70万円)の支出を予定している。
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Research Products
(2 results)