2011 Fiscal Year Research-status Report
ノロウイルスとサポウイルスの網羅的検出による地域流行像の解明
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23590166
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Research Institution | Aichi Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
小林 慎一 愛知県衛生研究所, 生物学部, 室長補佐 (30139737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 照夫 愛知県衛生研究所, 生物学部, 室長 (40402177)
廣瀬 絵美 愛知県衛生研究所, 生物学部, 技師 (20525802)
藤原 範子 愛知県衛生研究所, 生物学部, 技師 (10518757)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ウイルス / ノロウイルス / サポウイルス / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
カリシウイルス科のノロウイルス(NoV)及びサポウイルス(SaV)は、ヒトの非細菌性胃腸炎の主要な原因ウイルスである。NoV及びSaVともに、組織培養法で増殖できず、また、感染動物モデルも確立していないことから、NoV及びSaVの感染機構、複製機構、病原性などの基礎的な研究が遅れているのが現状である。特に、NoVはウイルス学的特徴としてゲノム組換えを起こし易いウイルスであるので、ヒトと哺乳動物由来ウイルスとの間で新たなリコンビナント株が生じ、地域流行株として土着する可能性がある。哺乳動物の中でもブタは人獣共通感染症の病原体に感受性が高く、ヒトへの感染拡大に関わる頻度が高いことが知られている。そこで、今年度は、ヒトとブタに由来するNoV及びSaVの系統関係の解析を目的として、ブタ腸内容物からのNoV及びSaVの検出系の確立を試みた。遺伝子データベースに登録されたブタ由来NoV及びSaVの遺伝子情報を基に、両ウイルスともに構造タンパク遺伝子検出用プライマーを設計したところ、新規プライマーはそれぞれ、ヒト由来のNoV及びSaVとの交差反応はなく、ブタ由来のNoV及びSaVを特異的に検出できた。また、検出されたブタ由来NoVを既知のヒトNoVと相同性解析した結果、遺伝子クループIのNoVとは63~65%、遺伝子グループIIのNoVとは73~77%の相同性を示し、ブタ由来NoVは遺伝子クループIIに属することが確認された。今回、確立した遺伝子検出法を用いることで、ブタにおけるNoV及びSaVの感染状況調査が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・ブタ由来のNoV及びSaVの遺伝子検出法が確立できたので、ブタにおけるNoV及びSaVの感染状況の把握が可能となり、ヒト由来のNoV及びSaVの流行状況との比較検討できる体制が整った。・ブタの検査用検体の定期的採取も順調に経過していることから、ブタにおけるNoV及びSaVの季節的流行性の解明が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
・ブタ由来NoV及びSaVの遺伝子検出法を確立できたので、今後はブタのフィールド検体を定期的に検査することでブタのNoV及びSaVの流行状況を把握し、ヒトでのNoV及びSaVの流行像と比較検討する。また、ブタNoVの代表株についてポリメラーゼ領域から構造タンパク領域までを合わせて遺伝子解析することにより、遺伝子組換えの有無を検討する。・ブタ以外の哺乳動物由来のNoVとして、ウシNoVの検出法の確立を試み、ウシのフィールド検体についてもNoVの定期的検出検査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・繰り越した研究費を活用して、検査検体保存用の低温槽を備品として購入する。・備品購入以外に、消耗品費、論文別刷費、人件費及び学会参加旅費などに使用する。
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