2012 Fiscal Year Research-status Report
ノロウイルスとサポウイルスの網羅的検出による地域流行像の解明
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23590166
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Research Institution | Aichi Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
小林 慎一 愛知県衛生研究所, 生物学部, 室長補佐 (30139737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 照夫 愛知県衛生研究所, 生物学部, 室長 (40402177)
廣瀬 絵美 愛知県衛生研究所, 生物学部, 技師 (20525802)
藤原 範子 愛知県衛生研究所, 生物学部, 技師 (10518757)
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Keywords | ウイルス / ノロウイルス / サポウイルス / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
愛知県内の肥育ブタにおけるNoV感染状況を実態調査した。2011年7月から12年6月に愛知県内の食肉センターに搬入された肥育ブタ(月齢6カ月~1年以内)の腸内容物を毎月20頭(10肥育農家から各2頭)から採取し、被検体とした。ブタ型NoV(Sw/NoV)の構造タンパク遺伝子を増幅するプライマーを新たに設計し、RT-PCRでSw/NoVの検出を試みるとともに、既知のヒト型NoV(Hu/NoV)検出プライマーを用いたHu/NoV検出も併せて実施した。PCR増幅産物の遺伝子配列をダイレクトシークエンス法で決定後、遺伝子型を決定した。その結果、検査した240検体の内、26検体(10.8%)がSw/NoV陽性であった。調査期間内の7~8月と翌シーズンの6月を除きNoVが検出され、9月が8検体(40%)陽性と最も陽性率が高く、次いで12月の4検体(20%)であった。肥育ブタからの検出状況に季節性を認めず、ヒトでのNoV流行状況(冬季に高頻度に検出)と異なっていた。Sw/NoV陽性26検体の遺伝子解析の結果、14検体がGII.19、8検体がGII.11(プロトタイプのブタ型NoV)、4検体がGII.18に分類された。一方、240検体の内、18検体(18/240, 7.5%)がHu/NoV陽性であった。Hu/NoV陽性18検体の遺伝子型 は、15検体がGII.2,、2検体がGII.15、1検体がGII.4であった。肥育ブタにおけるNoVの感染環やHu/NoV増殖の有無は現時点で不明であるが、肥育ブタにおいて多様な遺伝子型のNoVが混在流行していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・肥育ブタにおけるブタ型とヒト型NoV流行状況の把握が可能となり、ヒトの流行株との分子疫学的解析を実施できる体制が整った。 ・肥育ブタの検査用検体の定期的採集・搬入体制を構築できたことから、ブタにけるNoV及びSaVの季節的流行の解明が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
・肥育ブタ由来NoVとSaVの遺伝子検出法を確立できたので、肥育ブタの継続的検査を実施し、ヒトでの流行像と比較検討する。 ・ブタ由来NoVについて遺伝子構造を詳細に検討し、ヒト由来NoVとの遺伝子組み換えの有無を検討する。 ・哺乳動物由来のNoVとして、ウシ由来NoV検出法の確立を試み、フィールド検体の検出検査に応用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費、論文別刷費及び学会参加旅費等に使用し、平成26年2月を目途に執行済みとする。
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