2013 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロダイセクション法を用いたメチル水銀による選択的神経細胞障害に関する研究
Project/Area Number |
23590167
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Research Institution | National Institute for Minamata Disease |
Principal Investigator |
藤村 成剛 国立水俣病総合研究センター, 基礎研究部, 室長 (20416564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼杵 扶佐子 国立水俣病総合研究センター, 臨床部, 部長 (50185013)
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Keywords | メチル水銀 / マイクロダイセクション / 小脳顆粒細胞 |
Research Abstract |
本研究の目的は、メチル水銀による選択的神経細胞障害の決定因子を確定し、メチル水銀中毒の診断、予防および治療において有益な情報を得ることである。そのためにマイクロダイセクション装置を用いて、メチル水銀毒性の発現する部位と発現しない部位について個々の細胞を分離し、選択的神経細胞障害に関与する可能性のあるmRNA量について解析を行う。小脳神経細胞には主に3種類の神経細胞(顆粒細胞, プルキンエ細胞, 分子層細胞) が存在し、メチル水銀曝露によって小脳顆粒細胞特異的に神経変性が生じる。 今年度は、ラット小脳各神経細胞における硫化水素産生酵素についてmRNA発現解析を行った。その結果、メチル水銀毒性に対して抵抗性を示す神経細胞層 (プルキンエ細胞, 分子層神経細胞) において硫化水素産生酵素(CSE, CBS) の発現がメチル水銀毒性に対して脆弱な顆粒細胞層よりも多いことを明らかにした。この結果は免疫組織染色による蛋白質の分布と一致した。さらに、CSE KOマウスにおいて、メチル水銀曝露によって振戦を伴う選択的なプルキンエ細胞傷害が観察された。以上のことから、メチル水銀毒性に対する細胞抵抗性に硫化水素が重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Research Products
(5 results)