2011 Fiscal Year Research-status Report
プロスタグランジンD2のシグナル伝達機構の解明と新規受容体の検索
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23590169
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小山田 一 秋田大学, 医学部, 臨床検査技師長 (80375310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守時 由起 秋田大学, 医学部, 講師 (90585522)
茆原 順一 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80197615)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | PGD2 / CRTH2 / CCR3 / 気道上皮細胞 / 好酸球 |
Research Abstract |
当初の計画のもと、気道上皮細胞でのCRTH2の機能解析と未知の受容体の検索を行っているが、現在ノックダウン細胞を作成中である。一方、血中における主要なCRTH2の発現細胞として好酸球がある。種々の刺激によってヒト好酸球のケモカイン受容体であるCCR3の発現変化を検討していたところ、興味深いことにPGD2はCCR3の迅速なinternalizationを誘導することを見いだした。CCR3はG蛋白共役型受容体であり、リガンドによりinternalizationが起こることがよく知られている。そこでPGD2の未知の受容体候補としてCCR3を考え、CCR3のトランスフェクション細胞(K562)を用いて、PGD2がCCR3を介して機能するか、細胞内Caインジケータであるfra-2を用いて検討を行った。 この結果、PGD2によるCa流入は認めなかった。また、PGD2の前処理後にCCR3のリガンド(eotaxin-1)刺激を行ったが、Ca流入の抑制は認められなかった。さらにbinding assayにより、PGD2はeotaxin-1のCCR3への結合をほとんど阻害しないことが確認された。これらの結果から、PGD2はCCR3のリガンドとして機能しないことが示唆された。しかしながら、PGD2によりケモカイン受容体の細胞表面発現が抑制されることは、好酸球の局所への遊走調節機能を明らかにする上で重要な知見と考えられる
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は、主にPGD2のCRTH2とDP以外の受容体への関与について検討した。特にCCR3への関与について検討したが、その内容は前述したとおりである。PGD2は、その親和性は弱いながらもPGE受容体(EP)、PGF受容体(FP)、トロンボキサン受容体(TP)に結合することが知られているが、それらのagonistやantagonistを用いてサイトカイン産生(IL-8, GM-CSF)に対する影響を検討した。結果として、それらの関与は否定的であった。また、PGD2は核内受容体であるPPARγに対しても弱い親和性を有する。さらに、PGD2は時間依存的に代謝されるが、その最終代謝産物である15d-PGJ2はPPARγのnatural ligandとして知られている。そこで、PPARγのagonistやantagonistを用いてサイトカイン産生に対する影響を同様に検討したが、その関与は否定的であった。 各種シグナルのinhibitorを用いて気道上皮細胞におけるPGD2によるIL-8, GM-CSF産生経路の検討も行ったが、ERKおよびp38MAPKの関与が示唆された。また、Gi蛋白の関与も疑われる結果となった。 このように平成23年度は基礎的データの蓄積のために時間および経費を費やしたため、当初の予定より進行が遅れる形となった。しかし、(1)ターゲットなりうるシグナル経路が明らかになったこと、(2)CRTH2とDP以外の既知の受容体に対する関与が否定的であったことは、平成24年度以降の計画を立てる上で非常に有益な情報となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究結果から、PGD2は既知の受容体であるCRTH2を介してケモカイン受容体CCR3の発現を抑制していることが明らかになった。このことは、もう1つの既知の受容体であるDPもサイトカインやその受容体発現に関与している可能性を示唆する。 さらに、CRTH2とDPが相互に作用する可能性もあるため、これらの確認が必須と考えられる。そのため、アゴニストとアンタゴニストによる機能解析と並行して、siRNAによるCRTH2とDPのノックダウン細胞を用いても検討していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
CRTH2とDPの相互作用を検討するため、各々のレセプターの特異的アゴニストとアンタゴニストを購入する(およそ150,000円)。 また、サイトカイン産生に与える影響、およびサイトカインおよびサイトカインレセプターの発現への影響について、ELISA測定キット(100,000円)、フローサイトメトリー用抗体(150,000円)、リアルタイムPCR用測定試薬(200,000円)、ウエスタンブロット法試薬(100,000円)、合計金額700,000円を使用する予定である。
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