2013 Fiscal Year Annual Research Report
CYP3A遺伝子クラスター導入マウスを用いたヒトにおける性差の研究
Project/Area Number |
23590170
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 カオル 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (30255864)
|
Keywords | CYP3A / 遺伝子導入 / 性差 |
Research Abstract |
薬物代謝酵素シトクロムP450 3A(CYP3A)の活性は女性の方が男性より高く、CYP3Aの基質薬物を静脈投与した時のクリアランスには性差が認められるとの報告がある。この理由として、女性の方が男性よりも肝臓におけるCYP3Aの発現量が高く、その発現制御には女性ホルモンが関係している可能性が示唆されている。本研究の目的は、この可能性を、世界で初めてすべてのヒトCYP3A分子種の遺伝子クラスターを上流域を含めて導入発現させた「CYP3Aヒト型マウス」を用いて検討することである。平成23-24年度は、CYP3Aヒト型マウスの肝におけるCYP3A4の発現量および酵素活性は雌の方が雄よりも高いこと、雌の肝におけるCYP3A活性は加齢にともなって低下すること、雄性CYP3Aヒト型マウスの肝におけるCYP3A4の酵素活性と発現量は女性ホルモン(エストラジオール, E2)投与により上昇することを明らかにした。平成25年度は、雌の肝におけるCYP3A活性は加齢にともなって低下するという初年度に認められた事象を検証するため個体数を増やして検討し、雌の肝におけるCYP3A4の発現量と酵素活性は40週令では10週令よりも顕著に低いことを明らかにした。さらに、雌雄CYP3Aヒト型マウスにCYP3A誘導剤を投与し、肝および小腸におけるCYP3A4の増加率を比較した。その結果、肝におけるCYP3A4の発現量および酵素活性のCYP3A誘導剤による増加率は、雄の方が雌よりも高いことが明らかとなった。一方、小腸におけるCYP3A4の発現量および酵素活性のCYP3A誘導剤による増加率は、雄と雌で同等か雌の方がむしろ高かった。以上より、非誘導時の肝におけるCYP3A4の発現量に性差が認められることに加え、CYP3A誘導剤による増加率にも性差があることが示唆された。
|