2013 Fiscal Year Research-status Report
副作用マネジメントと毒性回避のための臨床薬物動態研究
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23590173
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
崔 吉道 金沢大学, 大学病院, 准教授 (40262589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 謙一 金沢大学, 大学病院, 教授 (30100514)
西村 友宏 慶應義塾大学, 薬学部, 助教 (40453518)
澤本 一樹 金沢大学, 大学病院, 助教 (80608696)
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Keywords | 薬物動態 / 肥満 / ゲムシタビン / リネゾリド / タクロリムス / フェンタニル / バイオアベイラビリティー |
Research Abstract |
ゲムシタビンの臨床試験を継続し症例の蓄積を行うとともに、その成果の一部について論文発表を行った(Mol Clin Oncol 2013、癌と化学療法 2013)。更に、ゲムシタビンの肝取り込みの非線形性を解明する目的で、ラットを用いた肝潅流実験および肝細胞を用いた取り込み実験を行ったところ、いずれの実験系でもそれぞれ親和性の異なる二つの飽和過程が示唆され、臨床投与量付近では低親和性部分が非線形性を示す要因であると考えられた。 リネゾリドについて、ヒト試験で見られたリファンピシン併用による体内動態変動メカニズムをラットを用いて検討した。リネゾリドを経口投与後の血漿中濃度推移は、リファンピシン連続前投与群では対照群と比較してAUCの顕著な減少がみられた。リネゾリドを静脈内投与した場合は、リファンピシン連続前投与群と対照群との間で有意な差は認められなかった。以上のことから、リネゾリドの消化管吸収過程での相互作用であることが明らかとなった。 タクロリムスが投与された患者のTDMデータを解析したところ、BMIが高い患者で、投与量補正したトラフ血中濃度が高い値を示した。そこで遺伝的肥満モデルラット(Zucker fa/fa)を用いて検討したところ、タクロリムスを静脈内および経口投与後の個体あたりの全身クリアランスと分布容積は肥満による差は認められなかったが、バイオアベイラビリティーは肥満群で上昇を認めた。また、肝臓Cyp3a2および小腸P-gpのタンパク発現レベルは肥満による低下を認めた。同じくCYP3Aの基質になるフェンタニルについて、経皮吸収製剤の体内動態に対する肥満の影響についてラットを用いて検討したところ、肥満により血中濃度が高く推移することが示唆され、現在、臨床試験を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲムシタビンの臨床試験は順調に進行し、さらなる試験を継続する計画である。既に、その成果の一部を平成25年度内に論文発表に至るなど、計画以上の進展が得られている。 リネゾリドの臨床試験については、平成25年度内には当初計画した症例数若干不足しているため、継続して症例組み込み中である。 さらに、肥満時の薬物動態変動について、タクロリムスとフェンタニルについて興味深い結果が得られたため平成25年度の計画を24年度に前倒しして実施していた研究が、論文発表の運びとなり、臨床試験も順調に進行中である。 以上、全体としては概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
リネゾリドとフェンタニルの臨床試験をさらに継続して推進し、臨床での効果を検証してゆく。また、ラットを用いたin vivoおよびin vitro実験でおおむね良好な結果が得られているので、論文投稿を目指す。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Hepatic arterial infusion chemotherapy with gemcitabine and 5-fluorouracil or oral S-1 improves the prognosis of patients with postoperative liver metastases from pancreatic cancer2013
Author(s)
Tajima H, Kitagawa H, Tsukada T, Okamoto K, Nakanuma S, Sakai S, Makino I, Furukawa H, Hayashi H, Oyama K, Inokuchi M, Nakagawara H, Miyashita T, Itoh H, Fujita H, Takamura H, Ninomiya I, Fushida S, Fujimura T, Ohta T, Koda W, Minami T, Ryu Y, Sanada J, Gabata T, Matsui O, Sai Y
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Journal Title
Mol Clin Oncol
Volume: 1(5)
Pages: 869-874
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] 膵癌術後肝転移に対するGemcitabineを用いた肝動注化学療法施行症例の検討2013
Author(s)
田島秀浩、北川 裕久, 正司 政寿, 岡本 浩一, 中沼 伸一, 酒井 清祥, 木下 淳, 牧野 勇, 林 泰寛, 中村 慶史, 尾山 勝信, 中川原 寿俊, 宮下 知治, 高村 博之, 太田 哲生, 南 哲弥, 香田 渉, 眞田 順一郎, 蒲田 敏文, 崔 吉道
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Journal Title
癌と化学療法
Volume: 40(12)
Pages: 1668-1671
Peer Reviewed
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