2013 Fiscal Year Annual Research Report
アシルグルクロナイドを加水分解する新規薬物代謝酵素の同定および毒性学的意義
Project/Area Number |
23590174
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
深見 達基 金沢大学, 薬学系, 助教 (00532300)
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Keywords | 加水分解酵素 / 薬物毒性 / アシルグルクロニド |
Research Abstract |
カルボン酸を有する薬は生体内でグルクロン酸抱合を受けることが多い。しかしこの抱合体(アシルグルクロニド)は肝障害をはじめとする様々な障害を引き起こすことが報告されている。よって抱合体を親化合物へ戻す反応(加水分解反応)は生体にとって解毒的に働くことが考えられる。申請者はアシルグルクロニド加水分解酵素としてα/β hydrolase domain containing 10 (ABHD10)を同定し、その機能解析をin vitroにおいて行い、基質特異性を明らかにした。続いてABHD10のin vivoにおける役割をげっ歯類を用いて解析した。マウス(C57BL/6, male)とラット(SD, male)の肝臓ホモジネートを用いて様々な薬のアシルグルクロニド加水分解酵素活性を測定したところマウスにおいてラットの10倍高い活性が認められ、かつヒトと同等の活性であったことからin vivo実験に用いる動物種としてマウスを選択した。マウスにおけるプロベネシドおよびジクロフェナクの体内動態がABHD10阻害作用を示すtri-O-tolylphosphate(TOTP)の前投与により変動するか解析を行った結果、各々のアシルグルクロニドの血中濃度の上昇および親薬物の血中濃度の低下が認められた。アシルグルクロニド代謝物がABHD10の基質とならないイブプロフェンでは、TOTP前投与により親薬物もしくアシルグルクロニドの血中濃度に変動は認められなかった。よって、ABHD10はin vivoにおいても特定のアシルグルクロニド加水分解を触媒することによりアシルグルクロニド生成を抑制することを明らかにした。しかし、ABHD10活性を阻害しても肝障害の惹起は認められなかったため、アシルグルクロニドと毒性の関係性についてはさらに解析を進める必要がある。
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Research Products
(2 results)