2013 Fiscal Year Annual Research Report
がん幹細胞特異的発現トランスポーターを標的とした化学療法の基盤構築
Project/Area Number |
23590176
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中西 猛夫 金沢大学, 薬学系, 准教授 (30541742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相沢 信 日本大学, 医学部, 教授 (30202443)
玉井 郁巳 金沢大学, 薬学系, 教授 (20155237)
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Keywords | 前立腺がん / 輸送体 / 化学療法 / OATP |
Research Abstract |
腫瘍組織が僅かながん幹細胞から発生する「がん幹細胞仮説」に基づけば、がん幹細胞を死滅させない限り、癌の再発や転移を防ぐことはできない。本研究においては、栄養要求性の変化に応答して発現が変動する生理的輸送体とがんの増殖との関係が検討された。申請において、主にアミノ酸などの内因性物質輸送体の探索が計画されたが、これまでに前立腺癌細胞の増殖におけるアンドロゲン前駆物質dehydroepiandrosterone sulfate (DHEAS)を輸送する有機アニオン輸送体(OATP)の役割について成果が得られた。ヒト前立腺癌由来LNCaP細胞をアンドロゲン枯渇下で培養した結果、OATP1A2など複数のOATP分子の発現及び[3H]DHEAS取込みが増加した。OATP1A2発現抑制により、細胞増殖、軟寒天培地上でのコロニー形成およびin vitro浸潤能に対するDHEASの効果は有意に低下した。したがって、前立腺癌細胞はOATP1A2発現を増加させ、DHEASを積極的に取込むことによりアンドロゲンを補充し、自身の増殖・進展を促すことが示唆された。さらに、OATP1A2はmethotrexateなどの抗がん剤の細胞内蓄積を促進するため、アンドロゲン枯渇下におけるLNCaP細胞のmethotrexateに対する感受性を検討した結果、methotrexate の細胞毒性が増強されることが判明した。一方で、LNCaP細胞におけるOATP1A2の発現は、アンドロゲン受容体シグナルに負に制御されることが示唆された。以上のことから、前立腺がんにおいては、アンドロゲンレベルの低下に応答して、OATP1A2の発現高い腫瘍形成能を有した細胞が選択されることが示唆された。本研究の成果は、OATP1A2を標的とする化学療法は新しい去勢抵抗性前立腺癌治療に資すると期待される。
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Research Products
(3 results)