2011 Fiscal Year Research-status Report
がん病態下における薬物の腎クリアランス亢進メカニズムの解明
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23590177
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松下 良 金沢大学, 薬学系, 教授 (20293368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 謙一 金沢大学, 附属病院, 教授 (30100514)
和田 隆志 金沢大学, 医学系, 教授 (40334784)
寺町 ひとみ 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (20405129)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | がん / 腎クリアランス / 亢進 / サイトカイン / バンコマイシン |
Research Abstract |
初年度(H23年度)はまず、1)臨床データの解析、2)がんの病態モデルラットを作成し、ヒトでの現象が再現するか検討するとともにメカニズムの検討を薬物速度論的、分子生物学的手法により行った。そして、1)がん患者におけるvamcomycin (VCM) 母集団薬物動態パラメータの遡及的算出(松下、寺町担当)について、寺町らの収集した臨床データを基に、母集団薬物動態プログラムNONMEMプログラムを用いて解析を行った結果、がん患者で、クリアランス(CL)の上昇が確認された。一方で、添付文書で報告になっているようなdopamine、furosemide等の併用薬の有無によっては有意なCLの変動は見られなかった。2)VCM(vancomycin)の薬物動態学的検討(松下担当)ラットを用いて、種々の担がん病態動物を作製した結果、骨肉腫モデルを足蔗に移植した群について、VCMのCL亢進を確認した。更に、腎クリアランスが上昇すること、またGFRに変動がなく、この亢進がquindine, probenecid, cimetidineの併用により抑制されたことにより、がん病態によるVCMのCL亢進は、腎臓における尿細管分泌または再吸収の変動が関与していることが示唆された。一方で、骨肉腫モデルラットにおいては、サイトカイン(IL1-β、TNF-α)の血漿中濃度が上昇していることを見いだした。そこで、ヒト腎臓近位尿細管培養細胞(RPTEC)細胞をトランスウエル上で培養し、VCMの膜透過実験および、RPTECに各種サイトカインを添加した場合のVCMの膜透過速度の変化を検討した結果、サイトカインの併用によりVCMの尿細管分泌比が亢進することを見いだした。以上より、がん患者におけるVCMのクリアランス亢進には、サイトカインが関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
がん患者における薬物の腎クリアランスが亢進する現象について、当初の計画に基づき、まず、ラット担がんモデルにおいて薬物のクリアランスの亢進する条件を探索し、ある種の骨肉腫モデルにおいて現象に合致する作製条件を見いだした。次に、そのモデルを用いて、腎クリアランス亢進現象のひとつの原因を見いだすことができた。更に、次年度以降の検討項目であった、がん病巣部位と腎臓におけるクリアランス変動を仲介する物質の候補を挙げることもできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今回見いだされた現象が、他の薬物でも再現するか検討する。また、示唆した原因の可能性を薬物速度論的、分子生物学的に確認する。更に、今回検討していない薬物の血漿蛋白結合へのがん病態の影響についても検討する。また、これまでの結果を踏まえた今後の研究計画の再検討も適宜行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.がんによる薬物の体内動態変動の検証と他薬物での検討(松下、宮本担当)昨年度の結果の検証およびVCM以外の薬物でも、VCM同様の体内動態の変動が見られる薬物が無いか検討するため、アミノグリコシド系抗菌(amikacin, tobramycinなど)等の薬物、試薬、HPLC等の消耗品購入、ラットの購入および、病態動物の作製費にあてる。更に、腎臓におけるトランスポーターのmRNAレベル変動の検討のための試薬購入費にあてる。また、HPLC使用に当たっては、使用している測定機器(HPLC)が、昨年度途中で故障し、その修理を本年度に持ち越すこととしたため、その修理費にもあてる。2.がんによる薬物の体内動態変動(蛋白結合率)の検討(松下担当) 薬物(cefazolin, Ibuprofen等)、試薬、ラットの購入および、病態動物の作製費にあてる。また、蛋白結合率の測定のための限外濾過キット、血漿の処理のための活性炭等の試薬、分取カラム、蛍光、CDスペクトル等の機器分析利用費、薬物血中濃度測定のためのHPLC消耗品購入費用にあてる。3.今後の臨床データの収集計画の検討および研究内容の打ち合わせ等の旅費として使用する。
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Research Products
(1 results)