2012 Fiscal Year Research-status Report
がん病態下における薬物の腎クリアランス亢進メカニズムの解明
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23590177
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松下 良 金沢大学, 薬学系, 教授 (20293368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 謙一 金沢大学, 大学病院, 教授 (30100514)
和田 隆志 金沢大学, 医学系, 教授 (40334784)
寺町 ひとみ 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (20405129)
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Keywords | がん / 腎クリアランス / 亢進 / サイトカイン / バンコマイシン / 蛋白結合率 / セファゾリン / 酸化ストレス |
Research Abstract |
2年目(H24年度)は、初年度の1)臨床データの解析、2)がんの病態モデルラットの作成と利用により、当初の機構解明に一定の成果が得られたので、本実験系を使い、他の薬物で、どのように体内動態が変化するかを検討した。そして、 3)がんによる薬物の体内動態変動の検証と他剤での検討:Vamcomycin (VCM)以外の薬物でも、VCM同様の体内動態の変動が見られる薬物が無いか検討した。特に、同様な体内動態的特性を持つ、アミノグリコシド系抗菌薬(amikacin,tobramycinなど)は、VCMと同様にクリアランスの亢進がみられる傾向があることがわかった。一方、腎臓などでのトランスポーターとの関連が良く知られているβラクタム抗生物質では、蛋白結合率が大きく変動することを新たに見いだした。 4) がんによる薬物の体内動態変動(蛋白結合率)の検証と他剤での検討 4-1) モデル薬物:Sudlowらの提唱するアルブミン分子のSite Iに特異的に結合するcefazolin (CEZ), Site IIに特異的に結合するIbuprofen(IB)を用いた。そして、2)で検討した病態モデル群と対照群の血漿を用いて、限外濾過法により血漿蛋白非結合形分率(fp)および蛋白結合定数を求め, 病態群でfpが変動することがわかった。 4-2) 次に、病態群、対照群の血漿からアルブミン分子を精製し、そして、SDS-PAGEによりアルブミン分子の精製を確認した後、精製したラットアルブミンを用いて、蛍光、CDスペクトル等の手法を用いて、がん病態下のアルブミン分子の立体構造の変化を確認した。一方、酸化ストレスによっても、アルブミン分子の構造変化が起こることをin vitroで確認した。病態群では酸化ストレスのマーカーが上昇していたことから、酸化ストレスがfp変動の一因でないかと思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がん患者における薬物の腎クリアランス亢進現象を解明するために用いたラット担がんモデルを応用して、がん病態下での他の薬物の体内動態変動、特に蛋白結合率の影響を検討し、それを定量的に明らかにするとともに、その原因についてアルブミン分子の立体構造の変化が関与していることを示唆できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今回見いだされた現象の再現性を検討し、研究成果のまとめと報告を急ぐ。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度得られた結果の検証とまとめを行うための、薬物、試薬、限外濾過キット、HPLC等の消耗品購入、ラットの購入および、病態動物の作製費にあてる。 また、これまでの結果の発表および論文化のための研究内容の打ち合わせ等の旅費や校正、投稿料として使用する。
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