2013 Fiscal Year Annual Research Report
腸神経系が関与する消化管疾患時における薬物吸収挙動の解析
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23590181
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
檜垣 和孝 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60284080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 聰城郎 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, その他 (10025710)
大河原 賢一 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30291470)
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Keywords | 腸神経系 / セロトニン / 有機アニオン系化合物 / 分泌 / Mrp2 / BCRP / Western blot / 発現タンパク |
Research Abstract |
消化管は、中枢神経系と、中枢神経系とは独立した自律神経系である腸神経系(ENS)により、その運動・機能が制御されている。また、近年では、様々な消化器疾患にENSが関与していることが報告されており、病理学的、薬理学的観点からも、ENSと消化器疾患との関連性の解明が重要視されている。特に、ENSにおける神経伝達物質として、また消化管ホルモンとして消化管の機能制御に深く関わっているセロトニンは、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患では、粘膜中のセロトニン含量が少ないことが、逆にセリアック病やカルチノイド発症時やシスプラチン投与時に見られる消化器障害には粘膜中セロトニン含量が高いことが知られており、セロトニン異常と疾患の関係、更には疾患時の薬物吸収挙動の変化とその機構解明は、薬物治療の観点からも極めて重要となる。昨年度までに、作製したセロトニン枯渇ラットを用い、有機アニオン性化合物の吸収動態に及ぼすセロトニン枯渇の影響を検討したところ、モデル化合物phenol red (PR) の吸収方向の膜透過が減少し、分泌方向の膜透過に有意な増大が見られることが明らかとなっていた。本年度は、このPRの分泌増大の機構解明を目的として、PRの分泌方向の輸送への関与が示唆されたMrp2とBCRPの小腸上皮細胞の刷子縁膜上の発現量をWestern blot法により定量した。その結果、Mrp2は、セロトニン枯渇ラットにおいて、コントロールラットの2~3倍の有意に高い発現量を示すことが明らかとなった。一方、BCRPについても同様な傾向が見られ、セロトニン枯渇ラットにおいてコントロールラットの約1.5倍の有意に高い発現が認められた。これらの結果より、セロトニン枯渇ラットにおいて認められたPRの分泌方向輸送の有意な増大には、少なくともMrp2及びBCRPの発現増大が一因として関与しているものと考えられた。
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Research Products
(1 results)