2013 Fiscal Year Annual Research Report
アミノグリコシド腎毒性を導く初発分子の同定とそれを標的とした腎毒性防御法の最適化
Project/Area Number |
23590182
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
永井 純也 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院(薬), 准教授 (20301301)
|
Keywords | アミノグリコシド系抗生物質 / 腎尿細管上皮細胞 / エンドサイトーシス / カチオンチャネル |
Research Abstract |
Gentamicin(GM)やamikacinなどのアミノグリコシド系抗生物質は、腎近位尿細管上皮細胞の管腔側からエンドサイトーシスによって取り込まれることが知られている。その取り込みにはmegalinと呼ばれるエンドサイトーシスレセプターが関与することを我々のグループなどによって示されてきた。一方、近年、内耳細胞などにおいてTRPチャネルを介したGMの細胞内移行に関する報告が散見されていた。そこで、我々は、エンドサイトーシス非依存的なGMの細胞内移行についてさらに解析を進めることを目的に、培養腎尿細管上皮細胞におけるGM輸送におけるカチオンチャネルの関与について検討を行った。 Gadolinium(Gd)はTRPチャネル阻害剤として用いられるが、ある濃度域ではTRPV1を活性化することも報告されている。そこで、megalin発現がほとんど観察されないヒト腎近位尿細管由来HK-2細胞における[3H]GM取り込みに及ぼすGdの影響について検討した結果、低濃度Gd共存下では上昇し、高濃度Gd共存下では阻害された。また、megalinが発現しているOK細胞においても、HK-2細胞の場合と同様に、Gd共存によって[3H]GM取り込みは二相性に変化した。また、HK-2細胞をGdで前処理した後に取り込み実験を行った結果、[3H]GM取り込みはGd前処理濃度依存的に上昇したが、Gd共存時に認められた高濃度Gdによる阻害効果は観察されなかった。一方、Gd前処理によって促進された[3H]GM取り込みは、非選択的カチオンチャネル阻害剤ruthenium redによってほぼ完全に阻害された。以上、Gdはmegalinの発現に依存することなくGM取り込みに影響するとともに、その処理条件に応じてGM取り込みを活性化あるいは直接的に阻害することが示された。
|