2012 Fiscal Year Research-status Report
薬物治療最適化に向けたセルフマイクロモニタリング系の開発と在宅・薬局での実践
Project/Area Number |
23590183
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
池田 佳代 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 助教 (30379911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 則文 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 教授 (30346481)
猪川 和朗 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 准教授 (40363048)
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Keywords | 薬学 / 医療・福祉 / セルフマイクロモニタリング / 保険薬局 / マイクロTDM |
Research Abstract |
本研究の目的は、薬局薬剤師が、患者、診療所などと連携し、在宅・保険薬局での薬物治療の最適化に向けた、簡便かつ低侵襲な自己採取法による微量体液検体を用いたセルフマイクロモニタリング(薬物濃度測定等を行い、薬物治療状態を評価する)系の開発とその有用性を評価することである。マイクロTDM(Therapeutic Drug Monitoring)と呼称した。 マイクロTDMの有用性の確認と問題点の抽出のため、1. 事前に薬局薬剤師の実習研修を開催しマイクロTDMの手法を徹底、2. 診療所とその処方せん対応薬局で、10名のテオフィリン服用患者において指先穿刺による自己採取微量血液を用いてマイクロTDMを実践、3. 薬局薬剤師・医師・患者へのアンケートを行った(広島大学疫学研究倫理審査委員会で承認済)。今後解決すべきいくつかの問題点が出されたが、薬物治療の適正管理へ向けたマイクロTDMの有用性が示唆された。また本成果は、「薬局薬学」に投稿し、受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テオフィリン濃度の定量・解析では、患者の約半数は今後の定量・解析を希望したが、「針を自分で刺すのには抵抗がある」患者が10名中7名と多かった。また、薬剤師にとっても、提供を受けた血液の遠心による血漿採取等が負担となっているものと考えられた。このため、昨年度(今後の推進方策)にて述べた、微量血をろ紙にスポットする検体採取法(dried blood spot(DBS)法)では、ろ紙を乾燥した状態で搬送・保存し、スポットを溶媒抽出後測定するため、スポットおよび検体搬送が簡便である。加えて、全血以外に血漿や尿にも応用可能である。そこでマイクロTDMの改善を目的にDBS法のマイクロTDMへの応用を考えた。対象薬として、脳梗塞後の痙攣発作予防目的で使用されているバルプロ酸やカルバマゼピン等の抗てんかん薬は有効血中濃度範囲が狭く、患者間の個体差も大きいため、薬物治療を適正に管理するためにはTDMが有用である。しかし、バルプロ酸およびガバペンチンは、微量血漿中では免疫測定装置で定量測定できないため、DBS法の活用を試み、血漿での定量化を実施、学会発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度マイクロTDMを実施したテオフィリン服用患者は、外来患者であった。本年度は、在宅患者でのマイクロTDMの有用性の確認と問題点の抽出を実施したいと考えている。 また、昨年度バルプロ酸およびガバペンチンのDBS法を利用した血漿での定量化を実施可能とした。しかし、マイクロTDMを簡便に実施するためには、全血でのスポットでの定量化が必要と考えられる。従って、バルプロ酸およびガバペンチンの全血での定量化を実施する。また、疼痛治療剤であるプレガバリンはバルプロ酸やガバペンチンと似た構造式を有しているため同時定量化を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マイクロTDMを実施のため、採血管や分析試薬の購入を行う。 また、質量分析計のロータリーポンプおよびターボポンプの交換を行う。
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Research Products
(4 results)