2011 Fiscal Year Research-status Report
血漿中microRNA濃度のバイオマーカーとしての有用性の検討
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23590186
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
廣田 豪 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80423573)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | オーダーメード医療 |
Research Abstract |
Caco2細胞においてmiR-328の細胞外分泌を超遠心法によるexosome分画の抽出(120K pellet)を行った後、解析した結果72時間後ピークとする分泌を確認した。細胞外分泌の方向は、apical方向への強い分泌であったがbasal方向への分泌も認めた。このことは腸から血液方向へのmiR-328分泌の可能性を示す。分泌されたmiR-328のバイオマーカーとしての安定性を明らかにするためRNaseに対する感受性について検討した。その結果、exosome分画におけるmiR-328はRNase非感受性でありTriton X存在下ではRNase感受性であった。このことから、miR-328はexosome中に存在することでRNaseによる分解を受けなかったと考えられる。 Caco2細胞におけるexosomal miRNAの細胞透過性を検討した。Caco2細胞に発現しておらずかつexosomeに内包されたmiRNAを用いるため、Caco2細胞において発現のないmiR-223を測定対象とし同miRNAは血球由来K562細胞分泌exosomeとして調製した。Caco2細胞の単層膜を作成し、K562細胞由来exosomeをapical・basal方向それぞれに投与し経時的サンプリングし(0, 2, 4, 8, 16, 32, 64 hr)測定した。その結果、分泌はapical側に約5倍傾いていたがbasal側への分泌も認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では平成23年度以下の2項目について検討する計画であった。(a) miR-328の細胞外分泌(basal並びにapical側)(b) exosomal miRNAの消化管透過性「研究実績の概要」において記述したとおり、2項目ともに解析結果を得ることが出来た。細胞内のmiR-328は血液方向の輸送を示すbasal側への分泌することが明らかとなると同時に分泌されたmiRNAはCaco2細胞単層膜を透過することが示唆された。これにより研究計画において予定していた細胞におけるmiRNA分泌に関する検討はすべて達成することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
近年、ヒトがん組織においてmiR-328の5’上流域のDNAメチル化がmiR-328発現制御に関与していることが報告された。そこで本年度はこれまでに研究計画に加え新たにmiR-328発現の個人差要因の解明を目指して、同領域のDNAメチル化解析を行う予定である。解析対象はヒトABCG2遺伝子の発現臓器の1つである胎盤を用いる。すでに同組織においてmiR-328発現量とABCG2 protein発現量との間には有意な負の相関を認めていることから、miR-328発現量の個人差要因を解明することでABCG2の個人差を引き起こす本質を明らかにすることができるのではないかと考えている。miR-328がABCG2機能のバイオマーカーとなるのかについては、ヒトを対象とした臨床試験が必須であることから、研究計画に基づきヒト末梢血中のmiR-328定量とABCG2基質薬物の体内動態との関連を明らかにする臨床試験を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
成24年度の設備備品費は当初から計上しておらず特に新規に必要とする機器はないことから、研究費は主に耗品費に充当される計画である。消耗品の使途は主に以下の品目を予定している。PCR プライマープローブ、リアルタイムPCRマスターミックス、細胞small RNA抽出キット、ルシフェラーゼアッセイキット、トランスフェクション試薬
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