2013 Fiscal Year Research-status Report
MALTリンパ腫に対するマクロライド系抗菌薬の抗腫瘍効果
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23590188
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
石松 祐二 長崎大学, 大学病院, 講師 (40533899)
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Keywords | マクロライド系抗菌薬 / MALTリンパ腫 / Helicobacter pylori / アポトーシス / Bcl-xL / NF-κB |
Research Abstract |
【研究の目的】現在の臨床においてHelicobacter pylori (HP) 関連胃MALTリンパ腫の治療にHP除菌が第一選択とされ、7-8割の奏功率を有しているが、HP感染との関与が明らかではないMALTリンパ腫症例に対して、マクロライド系抗菌薬(MCLs)を含む抗菌薬による除 菌あるいはMCLs単剤による治療が有効である症例報告や臨床研究が散見される。我々はこれらに注目し、MCLsが持つ直接的な抗腫瘍効果を明らかにし、その薬理作用機序を解明することを目的に研究を行う。 【平成24年度】長崎大学病院の臨床症例で生検や手術により得られたMALTリンパ腫の組織の未染標本を用いて、MALTリンパ腫とアポトーシスについて検討するために、アポトーシスのシグナル伝達の抑制型としてBcl-xL、Bcl-2、転写因子NF-κBを、さらにMALTリンパ 腫で認められるAPI2/MALT1融合遺伝子およびMALT1遺伝子との関係が深い遺伝子産物であるBcl-10などの免疫染色を行い、染色の程度やその局在を検討した。得られたMALTリンパ腫の組織をBcl-xLの発現を検討すると病変部位によく発現する症例と余り発現しない症例 が認められ、除菌治療(MCLsを含んだ抗菌薬による治療)に対する反応性で異なり、反応良好群でBcl-xL発現が多く認められる傾向であった。その他のBcl-2などは現在、検討している。また、我々はMALTリンパ腫の臨床症例を集積するにあたり、14員環MCLs投与が有効であった肺MALTリンパ腫の再増大に対し、15員環MCLsを追加投与して再び縮小効果を示した症例に注目し、MCLsの14員環と15員環によるアポトーシスの誘導能の差異や14員環と15員環のMCLs併用によるアポトーシス誘導に関する相加効果・相乗効果について検討した。 【平成25年度】平成24年度に引き続き症例集積し、検討を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MALTリンパ腫の症例の集積が停滞し、また、臨床上、除菌治療の反応を併せて検討しているためデータの集積が進まない点もあり、やや停滞している。引き続き、症例の蓄積に力を注ぎ、研究を遂行していく予定です。
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Strategy for Future Research Activity |
MALTリンパ腫に対するMCLsの有効性、またその作用機序を明らかにしていくため、MCLsが有するアポトーシス誘導能を中心に検討を続けていく。また、症例の蓄積を進めるため、胃MALTリンパ腫以外においてもBcl-XLやBcl-2などの組織染色を行う。 また、MCLsが有するアポトーシス誘導能はMCLsの員環で差異があるか、また2種類の員環を併用することによる相加作用・相乗作用に関してもin vitroにおいて検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
胃MALTリンパ腫のBcl-xLやBcl-2などの発現に対して、クラリスロマイシンを含む除菌治療が有効であった群と無効であった群の2群に分けて検討しているが症例の集積が進んでいない。また、免疫染色やin vitroの実験を計画通りに進める為にH26年1月から、専用の研究補助1名をおき、研究を行っていくようにした。 アポトーシス抑制型のBcl-xLやBcl-2などに対する抗体の購入が必要と考えている。さらにin vitroでも同作用の検討、特にMCls間の差異や相加・相乗作用の検討を行う為、フローサイトメトリーを利用したMCLsアポトーシス誘導の検討を行うために必要な抗体や試薬を購入していく。また、これらの研究を滞りなく進めていく為に専用の研究助手を雇用したいと思っている。
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