2013 Fiscal Year Annual Research Report
末梢体内時計と膵β細胞NO-cGMP系とのクロストークの糖尿病発症における役割
Project/Area Number |
23590192
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
石川 智久 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10201914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 雪子 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (00381038)
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Keywords | 糖尿病 / シグナル伝達 / 薬学 |
Research Abstract |
内因性NOS阻害物質ADMAは、アルギニンからメチル基転移酵素PRMTにより産生され、加水分解酵素DDAHにより代謝される。β細胞株INS-1におけるこれら酵素のアイソフォームの発現変化をReal-time PCRにより検討したところ、高濃度グルコース3日間処置により、DDAH2の発現低下、およびPRMT4の発現増加が惹起された。さらに、2型糖尿病モデルマウスの膵島においても、DDAH2の発現低下が確認された。すなわち、高血糖状態により、β細胞におけるDDAH2の発現が低下し、ADMAの蓄積を介してNOS活性が抑制されることが示唆された。現在、実際にADMAのβ細胞含量が高血糖状態で上昇することを証明すべく、HPLCを用いたADMAの定量を行っている。 β細胞における体内時計に関する検討では、まず、ウマ血清で処置したINS-1細胞において、時計遺伝子Bmal1およびPer1の概日リズムを観察できる系を確立した。現在この系を用いて、時計遺伝子の概日リズムに対するNOドナーやNOS阻害薬の効果を検討している。また、ウェスタンブロットおよび免疫組織染色により、C57/BL6Jマウスのβ細胞およびβ細胞株MIN6にメラトニンMT1およびMT2受容体が発現していることを確認した。そこで、Fura-2を用いた[Ca2+]i測定を行い、β細胞に対するメラトニンの作用を解析した。その結果、メラトニンによりグルコース誘発[Ca2+]iオシレーションが抑制される細胞と、逆に増強される細胞が存在することを見出した。さらに、GLP-1存在下では、メラトニンは反応した全てのβ細胞でグルコース誘発[Ca2+]iオシレーションを抑制した。すなわち、メラトニンは細胞内cAMPレベルが高い場合には抑制作用、低い場合には増強作用を示すことが示唆された。現在、その作用機序の更なる解明を目指して検討を行っている。
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