2012 Fiscal Year Research-status Report
がん細胞における新規耐性マーカーとしてのARF―GEP100の検討
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23590194
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
蓬田 伸 東北薬科大学, 薬学部, 講師 (80230845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
染谷 明正 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90167479)
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Keywords | がん細胞 / 耐性マーカー / P-糖タンパク質 / ARF-GEP100 / ARF6 / ドキソルビシン |
Research Abstract |
昨年度検討の出来なかった乳がん、大腸がん細胞、リンパ球系白血病細胞(Jurkat、MOLT-4)を用いて、デキサメタゾン、エトポシド、ビノレルビン酒石酸塩、ドキソルビシン処置で長期間処置しP-糖タンパク質とARF-GEP100の発現を検討したところ、いずれの細胞および薬物でP-糖タンパク質の発現は認められなかった。ARF-GEP100の発現を検討したところ、MCF-7(乳がん細胞)においてドキソルビシン処置で発現の増加が確認された。また、Spiruchostatin B (SP-B) 耐性NALM-6細胞を用いて検討したところ、P-糖タンパク質およびARF-GEP100の発現の増加が認められなかった。さらに、K562細胞の細胞膜画分を調製し、Western blotを行ったところ、P-糖タンパク質とARF-GEP100の発現の増加が確認された。このことから、P-糖タンパク質の機能発現にARF-GEP100の関与が示唆されたことから、P-糖タンパク質およびARF-GEP100に対する抗体を用いてproteinGによる免疫沈降法を行い、ARF-GEP100の関与を検討した。その結果、いずれの抗体を用いても、P-糖タンパク質とARF-GEP100が結合していることが確認できなかった。ARF-GEP100は、ARFを活性化するタンパク質として同定され、ARFの活性化が関与する種々の機能を調節するとともに、細胞の機能を多面的に調節している可能性が示唆される。そこで、ARF6の発現とARF-GEP100の発現をWestern blotで検討したところ、ARF6の増加認められるとARF-GEP100の発現の増加も認められた。このことから、P-糖タンパク質の発現には、ARF6およびARF-GEP100の関与が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
予定では、メカニズムの検討をsiRNAなどを用いて行っているところだが、P-糖タンパク質の発現に、6ヶ月~1年、かかることから、再現性を取るのに時間を要したとこと。また、複数の細胞、薬剤を用いて行ったことにより、さらに時間を要した。また、免疫沈降法による検討において、試行錯誤を繰り返しながら行い、思った以上に時間を費やしたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
K562細胞は、ドキソルビシンで処置すると、IC50の濃度を超えると細胞が大きく変化することを確認している。そこで、P-糖タンパク質の機能発現にARF-GEP100やARF6の関与をsiRNAによるノックダウンによって、K562細胞がどのように変化するかを確認する。さらに、ドキソルビシンの細胞外への放出について、フローサイトメトリーを用いて検討する。また、昨年度検討できなかったそれぞれの抗体を用いて、免疫沈降法を行い、それぞれに結合しているタンパク質が存在するかを質量分析を行い解析し、そのタンパク質に抗体を用いて、P-糖タンパク質の機能発現のメカニズムを検討する。 変化の見られたsiRNAを用いて、アテロコラーゲンを導入担体とするsiRNAを担がんマウスの腫瘍に直接あるいは全身投与しin vivoでの効果を検討する。また、マウスにK562細胞を移植し、ドキソルビシンを処置し、in vivoで耐性細胞を作製しする。そして、K562細胞でのP-糖タンパク質やARF-GEP100、ARF6の発現の変化を検討するばかりでなく、白血球などの血球成分での変化をWestern blotingで確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
P-糖タンパク質、ARF6に対する抗体を購入する(約15万円)。また、siRNAによるノックダウンによるメカニズムの検討を行うための遺伝子導入用の試薬とsiRNAの作成費用を計上する(25万円)。さらに、細胞培養用の培地や血清等およびプラスチック製品を計上する(10万円)。また、それぞれのタンパク質の機能発現かかわるタンパク質の同定を順天堂大学・研究基盤センター生体分子研究部門に依頼し、分析してもらうことから、質量分析代として15万円を計上する。そして、in vivoでのP-糖タンパク質、ARF-GEP100やARF6の発現を検討することから、その動物代として40万円を計上する。それらに、成果を日本生化学会等で発表するための国内旅費や論文の印刷代として残りの予算を充てる。
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