2013 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド型人工皮膚モデルの構築とそれを用いたタクロリムスの皮膚内動態の解析
Project/Area Number |
23590197
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
関 俊暢 城西大学, 薬学部, 教授 (60196946)
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Keywords | タクロリムス / 経皮吸収 / 皮膚内動態 / 炎症皮膚 / マイクロダイアリシス |
Research Abstract |
タクロリムスの皮膚内動態について、これまでの成果に基づき、各種炎症皮膚モデルを用いて検討した。 これまで用いてきた各種モデルにおいて、タクロリムスの全身移行量と経表皮水分蒸散量の間に相間が認められ、患者の経表皮水分蒸散量を予め測定することで、投与量の調整が可能となり、全身移行に起因する副作用を回避できる可能性を示してきたが、今年度新たに用いたヘアレスラットの自然発症皮膚炎症モデルでは痂皮の形成が認められ、そうようなラットにおいては上述の相間から外れてくることが示された。痂皮へのタクロリムスの結合や水分の蒸散経路とタクロリムスの透過経路が異なってくることなどがその理由として考えられた。 皮膚内の炎症関連の生理的変化とタクロリムスの吸収動態の関連を詳細に検討するため、角質層を除去したラットモデルを用いて、浮腫やそれに関連する皮膚内変化の影響を検討した。起炎剤を注入した皮膚では、血清アルブミンやα1-酸性糖タンパク質の漏出が皮膚組織内の高分子物質用マイクロダイアリシスとSDS-PAGEを組み合わせた実験により確認され、浮腫を有する皮膚での血中濃度の上昇の遅れがこれらの血漿成分への組織中での結合に起因することが示唆された。一方、ある程度時間が経過した場合では、浮腫を有する皮膚のでタクロリムスの吸収速度は高く、血漿成分へのタクロリムスの結合が容易に飽和すること、及び、炎症を有する皮膚における血管透過性の上昇や血流速度の上昇がタクロリムスの全身移行を促進する可能性が示された。そのことを確認する目的で、皮膚血流量を測定し、タクロリムスの血中濃度との相間を評価した結果、有意な正の相間が認められた。また、皮膚内にマイクロダイアリシスプローブを設置し、皮膚組織中遊離形タクロリムス濃度を測定した結果、皮膚適用初期からタクロリムス濃度は高く維持され、組織中と血液間に濃度勾配が存在することが確認された。
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Research Products
(4 results)