2013 Fiscal Year Annual Research Report
肝取り込みトランスポーターの阻害に基づく薬物間相互作用の定量的予測
Project/Area Number |
23590204
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
伊藤 清美 武蔵野大学, 薬学研究所, 教授 (60232435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 敏之 武蔵野大学, 薬学研究所, 助教 (10584815)
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Keywords | 薬物間相互作用 / トランスポーター / 生理学的薬物速度論 / 定量的予測 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、クラリスロマイシンの併用によるグリベンクラミドの血中濃度上昇について、肝取り込みおよび肝代謝の阻害を組み入れた生理学的薬物速度論モデルに基づく解析を実施した。OATP1B1によって肝臓に取り込まれた後、CYP2C9およびCYP3A4によって代謝されるグリベンクラミドを健常人に経口投与した時の血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)は、クラリスロマイシン (250 mg、1日2回3日間) を併用することにより約1.35倍に上昇することが報告されている。消化管、肝臓、肝臓外スペースおよび循環血から成るシンプルな生理学的薬物速度論モデルを構築し、クラリスロマイシンおよびグリベンクラミド単独投与時の血中濃度推移についてそれぞれ非線形最小二乗法に基づくfitting解析を行い、各々の体内動態パラメータを決定した。続いて、クラリスロマイシンによるOATP1B1の競合阻害およびCYP3A4のmechanism-based inhibitionを組み入れたモデルを使用し、クラリスロマイシン非併用時および併用時における血中グリベンクラミド濃度推移を同時fittingすることにより、パラメータの最適化を行った。解析の結果、いずれの濃度推移も本モデルによりほぼ再現され、fittingにより求められたOATP1B1に対するクラリスロマイシンの阻害定数は、in vitroでの報告値と比べて数倍小さい値となった。また、本相互作用でのグリベンクラミドのAUC上昇において、CYP3A4阻害と比較してOATP1B1阻害の寄与が大きいことが明らかとなった。一方、本相互作用のメカニズムをin vitro実験により検討する目的で、凍結ヒト肝細胞を用いたロスバスタチンの取り込み実験を行った結果、クラリスロマイシンは臨床濃度においてOATP1B1を阻害する可能性が示唆された。
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Research Products
(10 results)