2013 Fiscal Year Annual Research Report
脳エネルギーの代替にケトン体を利用するアルツハイマー病の新規治療戦略
Project/Area Number |
23590205
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
大和 進 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (60057370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三井田 孝 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80260545)
立川 英一 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (50146031)
中川 沙織 新潟薬科大学, 薬学部, 助教 (30410228)
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Keywords | ケトン体 / アルツハイマー病 / アセト酢酸 / HMG-CoAリアーゼ活性 / 脳エネルギー / ポリフェノール / アミロイドβタンパク42 |
Research Abstract |
脳内エネルギーは通常、主にグルコースからTCA回路によって産生されるが、アルツハイマー病においては、グルコースからのエネルギー生成能が低下すると報告されている。しかしながら、脳内ではグルコースのほかにケトン体からもエネルギーを獲得できる。ケトン体はHMG-CoAからHMG-CoAリアーゼによって産生されることから、HMG-CoAリアーゼおよびケトン体を促進あるいは活性化させる物質の探索を行うことは、アルツハイマー病の新規対策となる。 本年度は、昨年度に見つかったエピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートおよび没食子酸のHMG-CoAリアーゼ阻害作用について、さらに検討を行い、阻害作用が混合型非競合阻害であること、また、構造の中でもガリル基が関与していることを明らかにした。また、塩化カルニチン、アセチル-L-ロイシンおよびN-アセチル-DグルコサミンのHMG-CoAリアーゼ活性促進作用を再度検討したところ、有意差は認められなかった。さらに、アルツハイマー病予防として販売されているサプリメントの脂肪酸の一つであるカプリル酸トリグリセリドについても検討を行ったが、活性促進作用は認められなかった。 一方、脳由来IMR-32細胞に、ケトン体(アセト酢酸および3β-ヒドロキシ酪酸)あるいはグルコースを添加して培養すると、ATPの産生量が増加することが明らかとなり、ケトン体がエネルギーとして利用できることが判明した。さらに、同様の条件で、アルツハイマー病バイオマーカーであるAβ42の変化について検討したところ、アセト酢酸およびグルコースの添加においてはAβ42微減が認められ、3β-ヒドロキシ酪酸の添加では有意な変化が認められなかった。以上より、アセト酢酸を産生させることはアルツハイマー病治療の一助となるものと考察された。
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Research Products
(4 results)