2012 Fiscal Year Research-status Report
中枢機能調節因子としての有機イオントランスポーターの生物薬学的研究
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23590206
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
藤田 卓也 立命館大学, 薬学部, 教授 (00247785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守屋 友加 立命館大学, 薬学部, 助教 (00512295)
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Keywords | 神経伝達物質 / トランスポーター / アストロサイト |
Research Abstract |
N-acetyl-aspartylglutamate (NAAG) は哺乳類の中枢神経系において比較的高濃度存在する neuropeptide であり、N-acetyl-L-aspartate と glutamate より合成される。NAAG はアストロサイト細胞膜上に発現する NAAG peptidase による加水分解を受け N-acetyl-L-aspartate と glutamate を生成することから、脳内における glutamate 前駆体であると考えられている。NAAG は代謝型 glutamate 受容体に作用してシナプスからの glutamate 放出を抑制する作用を有し、統合失調症等の神経疾患治療におけるターゲットとなり得るため、脳における NAAG の動態特性を精査することは生理学的・薬理学的に重要である。本年度は、中枢神経系における NAAG の輸送特性を明らかにすることを目的とし、マウス大脳皮質より単離した初代培養ニューロン、アストロサイトおよび PEPT2、ジ・トリカンボン酸 transporter (NaC2、NaC3) 発現細胞を用いて、検討を行った。 マウス初代培養アストロサイトにおける NAAG の輸送特性について検討したところ、その輸送活性は非常に低く飽和性の輸送は認められなかった。しかしながら、NAAG はマウスグリア細胞における [3H]Gly-Sar の輸送を IC50 値 2.23 ± 0.4 mM で有意に阻害した。PEPT2 発現細胞を用いた検討においても同様の結果が得られたことから、NAAG は少なくとも PEPT2 を介したジ・トリペプチド輸送を阻害することが示された。一方で、マウス初代培養ニューロン、NaC2 発現 HeLa 細胞、NaC3 発現HeLa 細胞においても NAAG の顕著な輸送の亢進が認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中枢神経系におけるNAAGの輸送に関わる幾つかのトランスポーターの関与を明らかにすることができたが、同定にまでは至らなかった。しかしながら、これまで不明であったNAAGの輸送に関わるトランスポーターの一端を明らかにすることができたことは、研究の大きな進展であると思われる。 ニューロンおよびアストロサイトで発現が認められたジ・トリカルボン酸トランスポーターやいくつかのアミノ酸トランスポーターに関しては、発現の部位特異性に関しての検討が進められているが、その発現と機能の関連に関しては研究の進展が進められておらず、今後の検討課題といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討で進めてきたジ・トリカルボン酸トランスポーターの機能発現に加え、未だ検討が進められていないnicotinateやcholineなどの内因性物質の輸送に関わる中枢系におけるトランスポーターの同定を進めるとともに、これらの輸送に関わるトランスポーターの発現調節機構に関しても検討を進める。 また、神経伝達物質トランスポータースーパーファミリーに属する3種のアミノ酸トランスポーター(SLC6A15、SLC6A19、SLC6A20)についての中枢での湯堂機能解析を進めるとともに、その輸送機構の調節機構に関しても検討を進め、中枢機能調節因子として機能する一連の有機イオントランスポーターの整理を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度の経費執行はほぼ計画通りであったが、より効率的に物品購入を行った結果、端数が未使用金として生じた。次年度は、当該年度の未使用金を含めて、主としてマウスおよびラットの購入費及び、これら動物のニューロン及びアストロサイトの初代培養にかかる消耗品費に研究費をあてるとともに、発現解析に必要な分子生物学解析用試薬の購入費としても使用を予定している。 また、本検討で得られた成果を10月に開催される日本薬物動態学会(東京)で発表するための旅費としても支出を予定している。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Pharmacokinetic interaction study of sulfasalazine in healthy subjects and the impact of curcumin as an in vivo inhibitor of BCRP.2012
Author(s)
Hiroyuki Kusuhara, Sakiko Yamada, Chungyong Wu, Shinya Fukizawa, Ichiro Ieiri, Mariko Morishita, Kiminobu Sumida, Hiroshi Mayahara, Takuya Fujita, Kazuya Maeda, and Yuichi Sugiyama
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Journal Title
British Journal of Pharmacology
Volume: 166
Pages: 1793-1803
DOI
Peer Reviewed
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