2011 Fiscal Year Research-status Report
レセプト等の大規模医療情報を用いた医薬品による副作用の検出方法に関する研究
Project/Area Number |
23590213
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
頭金 正博 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00270629)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ナショナルレセプトデータベース / 副作用 / 安全性情報 |
Research Abstract |
医薬品の安全性に関する重大な情報が新たに得られた場合には、規制当局や製薬会社は安全性情報の発信や添付文書の改訂等によって、当該情報を医療機関に周知する。このような情報伝達は医薬品の適正使用にとって極めて重要である事から、効率的な情報伝達法を検証する必要がある。そこで、本研究においては、B型又はC型肝炎ウイルスキャリアでメトトレキサート服用患者での肝機能検査等の必要性に関して発信された安全性情報が、どのような時間的経過で医療機関に周知されて行ったのかについて検証することを目的とした。具体的には、下記の手順1~4を設定した。平成23年度は、下記手順のうち、研究対象となる各被験者のデータを集計するために、ナショナルレセプトデータベースの構造を解析し、レセプトデータを患者毎に集計(名寄せ)する方法を確立した。また、肝炎ウイルスキャリアを同定する方法を構築した。これらの方法は、ナショナルレセプトデータベースを解析するためには必須であることから、本研究の基盤的手法を確立することができた。1.B型又はC型肝炎ウイルスキャリアでメトトレキサート服用した全ての関節リウマチ患者の医科レセプトを傷病名レコードおよび医薬品レコードから抽出する。2.院外処方の場合は、メトトレキサートが処方されている調剤レセプトを元に、当該患者の医科レセプトを抽出する。3.該当する患者のレセプトから、肝機能検査とウイルス検査の有無を診療行為レコードから抽出する。4.B型又はC型肝炎ウイルスキャリアであり、メトトレキサート服用患者での肝機能検査等の実施率を処方月毎に算出し、実施率の経時変化を観察する。また、安全情報の周知状況を地域別に分析する観点から、都道府県別に比較する。さらに、医療機関の規模による周知状況を分析する観点から、病診別に比較する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の目的は、製薬メーカーや規制当局によって発出された医薬品による重篤な副作用に関する安全性情報が主として医療機関に対してどのように浸透しているのかを定量的に測定すると共に、医療機関のどのような特性が、安全性情報の浸透に影響を与えているのかを明らかにすることにある。初年度である平成23年度は、大規模データベースであるナショナルレセプトデータベースのデータ構造を明らかにするとともに、研究対象となる各被験者のデータを集計するために、レセプトデータを被験者の個人情報の扱いに細心の注意を払いながら患者毎に集計(名寄せ)する方法を確立した。また、本研究の被験者を抽出する鍵になる肝炎ウイルスキャリアをレセプト情報から同定する方法を構築した。これらの方法は、ナショナルレセプトデータベースを解析するためには必須の解析方法であることから、本研究の基盤的手法を確立することができた。また、情報セキュリティー管理の観点から、ナショナルレセプトデータベースを取り扱う研究室における、情報セキュリティーポリシー(利用規程)や、厚労省が設定した「レセプト情報・特定健診等情報データの提供に関するガイドライン」に適合したセキュリティー関連設備の整備を行った。併せて、ナショナルレセプトデータベースの利用予定者を対象にした情報セキュリティーポリシーの説明会を開催し、レセプト情報・特定健診等情報データの提供に関するガイドラインおよび情報セキュリティーポリシーの徹底を図った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度においてナショナルレセプトデータベースを取り扱うために必要な研究室の情報セキュリティーに関する規定や設備が整備され、また、ナショナルレセプトデータベースを解析するために必須となる基盤的手法を確立することができた。そこで、平成24年度は、これらの基盤的手法が大規模レセプトデータを対象にした際に、期待通りに機能するか検証する。具体的には、1ヶ月分のナショナルレセプトデータの提供を厚労省より先行して受け、レセプトデータを患者毎に集計(名寄せ)することが可能であるか、また、本研究の被験者を抽出する鍵になる肝炎ウイルスキャリアを同定することが可能であるか検証を行う。さらに、安全性情報の浸透に影響を与える要因の多くは、医科レセプトの「医学管理料」に関する情報であることから、これらの情報を効率よく抽出する方法についても検討を加える。また、抽出されたデータを用いて、統計学的な解析を加えて本研究目的に沿った結果が得られるか、予備的に検討を始める。その結果、期待された予備的結果が得られた場合は、当初の研究計画通りに、12ヶ月分のレセプトデータの提供を受け、本格的な解析を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は、レセプトデータの提供が予測した時期より遅延したため、大規模データの電子的処理に必要なソフトウェアのライセンス料が予測より低額になり、その一部を平成24年度において、使用することとした。平成24年度はデータの提供を受け、予備的解析を開始するとともに、予備検討の結果によっては大規模解析を開始する予定である。そのためには、解析に使用する専用PCを増やすと共に、大規模データの電子的処理に必要なソフトウェアのライセンス料を2倍に増額し、効率的にデータ解析を進める予定である。また、統計解析に必要なソフトウェアについても購入する予定である。これらの支出によって、平成23,24年度の研究費は、平成24年度内に全額を使用する予定である。
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