2012 Fiscal Year Research-status Report
新規Fc受容体DC-SIGN:抗体医薬品の構造特性・機能及び免疫原性との関連
Project/Area Number |
23590214
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
石井 明子 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 室長 (50291117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 琢雄 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 主任研究官 (10415466)
多田 稔 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 主任研究官 (50506954)
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Keywords | 抗体医薬品 |
Research Abstract |
本研究の主な目的は、免疫グロブリン製剤の抗炎症作用を担うFc受容体として機能する可能性が示唆されているDC-SIGNに着目して、DC-SIGNへの結合/活性化能に関するIgGの構造特性を解明し、シアル酸付加型IgGの抗炎症作用の分子機構を明らかにすることである。 本年度は、シアル酸転移酵素(ST3Gal1あるいはST6Gal1)とIgGの共発現によりシアル酸高付加型IgGを調製し、低親和性結合も検出が可能な表面プラズモン共鳴(SPR)法を用いてFc受容体及びDC-SIGNを含む新規Fc受容体候補タンパク質に関する結合特性の評価を行った。センサーチップにDC-SIGNを固定化し、IgGをアナライトとしてDC-SIGNとの結合及び解離を測定したところ、陽性対象として用いた補体C1qとDC-SIGNの結合は検出されたが、シアル酸高付加型IgGとの結合は検出されなかった。別に、Protein Aを用いたキャプチャー法による結合特性解析系を構築し、IgGをセンサーチップ上に捕捉して、受容体類をアナライトとする解析を進めているが、これまでのところ、DC-SIGN類との結合は検出されていない。 次年度は、DC-SIGN結合測定系を改良し、シアル酸高付加型IgGの結合特性の解析を進めると共に、最新の文献情報も参考に、DC-SIGN以外の分子がシアル酸高付加型IgGの抗炎症作用に関与している可能性も考え、B細胞に発現するCD22(Siglec-2)等について、シアル酸高付加型IgGとの結合及び結合に伴う免疫抑制シグナルの惹起について検討し、Fc受容体として機能している可能性を検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を開始した平成23年度は、DC-SIGN安定発現細胞株を樹立してcell-based binding assay系を構築し、免疫グロブリン製剤(ヒト血液由来IgG)から精製したシアル酸結合性レクチン吸着IgG画分について、DC-SIGN結合性を評価した。しかし、DC-SIGNとの結合は検出されず、Fc領域にシアル酸付加型糖鎖を有するIgGが十分に濃縮されていない可能性が考えられた。そこで、平成24年度は、IgGとシアル酸転移酵素との共発現系を用いて、シアル酸高付加型IgGの調製を行うとともに、低親和性の結合も検出が可能なSPR法を用いた結合特性解析を行うこととした。これまでのところDC-SIGN結合に関わる抗体の特性を解明するには至っていないが、年度当初の計画にしたがって本年度の実験を進めることができており、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、SPR法を用いたDC-SIGN結合測定系の改良を進めると共に、最新の文献情報も参考に、DC-SIGN以外の分子がシアル酸高付加型IgGの抗炎症作用に関与している可能性についても検証する。 (1) SPR法によるDC-SIGN結合測定系の改良:Protein Lを用いたキャプチャー法により、シアル酸付加型IgGをセンサーチップに補足し、DC-SIGN-FcをアナライトとするSPR解析系を構築する。別に、DC-SIGN-Hisを作製し、Hisキャプチャー法により、DC-SIGNとシアル酸付加型IgGの結合を検出する方法についても検討する。 (2) DC-SIGN結合性に関する構造活性相関:IgGサブクラスやシアル酸の種類(NeuAc, NeuGc)とDC-SIGN結合性の関連を解析する。 (3) DC-SIGN結合に関する構造活性相関に関するデータが得られた場合、DC-SIGN結合性が最も高いことが見出された分子種について、DC-SIGN発現細胞で惹起される免疫制御シグナル伝達分子の活性化能及びサイトカイン放出能を検証する。 (4) 最新の文献情報も参考に、DC-SIGN以外の分子がシアル酸高付加型IgGの抗炎症作用に関与している可能性を考え、B細胞に発現するCD22(Siglec-2)等について、シアル酸高付加型IgGとの結合及び結合に伴う免疫抑制シグナルの惹起について検討し、Fc受容体として機能している可能性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、主に試薬の購入費として使用する予定である。 購入予定の主な試薬:SPR解析用センサーチップ、SPR解析に用いる緩衝液調製用試薬類、Protein LやFc受容体等の組換えタンパク質、糖鎖解析用試薬、組換えタンパク質発現用試薬(CHO free style MAX発現システム、QIAgenes Expression システム)
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