2013 Fiscal Year Research-status Report
新規Fc受容体DC-SIGN:抗体医薬品の構造特性・機能及び免疫原性との関連
Project/Area Number |
23590214
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
石井 明子 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 室長 (50291117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 琢雄 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 主任研究官 (10415466)
多田 稔 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 室長 (50506954)
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Keywords | 抗体医薬品 |
Research Abstract |
本研究では,免疫グロブリン製剤の抗炎症作用を担うFc受容体として機能する可能性が報告されたDC-SIGNに着目して,抗体医薬品の構造・機能ならびに免疫原性とDC-SIGNの関連を明らかにすることを目的とした.免疫グロブリン製剤から精製したシアル酸レクチン吸着IgG画分や,シアル酸転移酵素の共発現により調製したIgGを用いて,cell-based assay及びSPR法により,DC-SIGNとの結合性を評価したが,これまでのところ,DC-SIGNとの結合性は検出されていない.免疫グロブリン製剤の抗炎症作用におけるDC-SIGNの関与については,その後,様々な報告があり,仮説を見直す必要が生じている.一方で,DC-SIGNがバイオ医薬品の免疫原性に関わる可能性については,未解明であることから,今後,抗体医薬品等のバイオ医薬品のDC-SIGN結合性,および,免疫原性の関連について,検討を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まず最初に,DC-SIGN安定発現細胞株を樹立してcell-based binding assay系を構築した.免疫グロブリン製剤(ヒト血液由来IgG)から精製したシアル酸結合性レクチン吸着IgG画分について,DC-SIGN結合性を評価したが,DC-SIGNとの結合は検出されなかった.次に,IgGとシアル酸転移酵素との共発現系を用いて,シアル酸高付加型IgGの調製を行うとともに,低親和性の結合を検出できるSPR法を用いた結合特性解析法の構築を試みた.SPR法により,陽性対照となる補体C1qとDC-SIGNの結合性は確認されたが,これまでのところDC-SIGN結合に関わる抗体の特性を解明するには至っていない.免疫原性に関しては,マンノース型糖鎖を持つタンパク質も評価対象に含めた検討課題が残っている.
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Strategy for Future Research Activity |
免疫グロブリン製剤の抗炎症作用に関わる分子としてDC-SIGNに注目して解析を進めてきたが,これまでの検討結果や,最新の文献情報から,Fc領域にシアル酸付加された糖鎖を持つIgGが,DC-SIGNを介して免疫グロブリン製剤の抗炎症作用を発揮する可能性は,高くないと考えられる.一方で,DC-SIGNは,マンノース型糖鎖に結合するレクチンであり,樹状細胞において,抗体産生に関わる液性免疫応答に必要な抗原取込みに関わっていることが知られている.抗体医薬品等のバイオ医薬品原薬には,高マンノース型糖鎖を持つ分子種が含まれることがあるが,DC-SIGN結合性と免疫原性の関連については明らかではない.今後は,抗体医薬品のみならず,他のバイオ医薬品も含めて,DC-SIGN結合性と免疫原性の関連を解析する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
免疫グロブリン製剤に含まれるIgGとDC-SIGNの結合,及び,免疫応答の関連について解析を行うため,平成25年度は,主として表面プラズモン共鳴(SPR)法を用いた結合親和性解析系の構築と種々のIgG分子種の結合性評価を行う予定であった.しかし,SPR解析系の最適化検討に時間を要したため,種々のIgG分子種の結合を評価するための費用が未使用となった. 次年度は,まず,SPR解析系を用いて種々のIgG分子種や,高マンノース型糖鎖を持つバイオ医薬品の結合性を評価し,さらに,DC-SIGN発現細胞を用いて,IgG結合に伴う細胞応答等の解析を行う.未使用額の使途内容は,SPRセンサーチップ,センサーチップ固定化用組換えDC-SIGN調製用の試薬,糖鎖構造等の異なる種々のIgG分子の調製用試薬,細胞応答を解析するための生化学実験用の試薬等を予定している.
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Research Products
(2 results)