2013 Fiscal Year Annual Research Report
リーリンシグナルと神経栄養因子が関与する疑核ニューロンの腹方移動制御機構の解析
Project/Area Number |
23590218
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
薛 富義 神戸大学, 医学部, その他 (30403231)
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Keywords | リーリン / Dab1 / 顔面神経核 / 疑核 / マウス / 細胞移動 |
Research Abstract |
脳幹の鰓弓運動性脳神経核ニューロン,特に発生段階において長い距離を移動する顔面神経核および疑核ニューロンの腹方移動おけるリーリンシグナル系の機能を明らかとするため,リーラーマウスおよびリーリン下流の細胞内アダプター蛋白Dab1を変異するヨタリマウスの顔面神経核と疑核のコンパクトフォーメーション(AmC)のニューロン分布について,ChAT免疫染色および高感度トレーサCTBを用いた逆行性標識法により詳細に比較した.その結果,これら変異マウスで同じ表現型を示すと思われた顔面神経核ニューロンの細胞移動は,リーラーよりもヨタリマウスで顕著に障害されていることが判明した.特に吻側レベルでは内側亜核群と副顔面神経核が,尾側レベルでは外側亜核群のニューロン移動が顕著に障害されていた.一方,疑核AmCニューロンはリーラー,ヨタリマウスとも延髄背側の孤束近傍で連鎖状の異所性細胞集団が分布しており,両者において同じ表現型を示したことから,疑核ニューロンはリーリン依存性に移動するが,顔面神経核ニューロンの移動は,リーリンシグナル伝達系の他,Dab1を介する別のシグナル経路によって時期特異的に調節・修飾を受けている可能性が示唆された.さらに,胎生(E)12日齢から15日齢に至るまでのニューロン移動を時系列的に追跡したところ,ヨタリ顔面神経核は正常マウスと同様E13からE15にかけてほぼ移動を終えていたが,その軟膜側には正常マウスでは見られない,細胞が極めて乏しい一定の広さを持った領域が一過性に存在することが判明した.Dab1を欠損するヨタリではリーラーと異なり,この領域における過剰なリーリンの蓄積,あるいは何らかの反発性因子の過剰発現によって腹方移動が障害される可能性を指摘するとともに,腹方移動時期に一致して発現する神経栄養因子等液性因子の関与が示唆された.
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Research Products
(2 results)