2012 Fiscal Year Research-status Report
プラコードと神経堤の細胞間相互作用を司る分子基盤の解明
Project/Area Number |
23590224
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
池田 啓子 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10265241)
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Keywords | プラコード / 神経堤 / マウス / 発生 / 電気穿孔法 / 全胚培養 |
Research Abstract |
1. プラコードと神経堤の細胞系譜の解析: 感覚器と脳神経節プラコードでの遺伝子発現を指令する特異的エンハンサー(Six1-21とSix1-8)の制御下でCreを発現する2系統の遺伝子改変マウスとROSA locusにLacZ遺伝子が入っている遺伝子改変マウスと掛け合わせた。LacZ染色による細胞系譜解析をした。鼻・耳・上鰓神経節プラコードのエンハンサーSix1-21は、発生初期から全身での活性がオンになり、三叉・上鰓神経節プラコードのエンハンサーSix1-8は、胎生9.5ではごく限られた部分でのみ活性がオンになることがわかった。胎生10.5では、それぞれ予想通り(マウス構築の際のスクリーニング)の発現をしたが、系譜を追うためには、胎生8-9.5での「特異的」活性がみとめられなければならない。一方、神経堤細胞特異的にCreを、頭部中胚葉特異的にCreを発現する3系統の遺伝子改変マウスをSix1/4二重欠損マウスと交配し、欠損マウスの形態形成への影響は無いことを確認したのち、二重欠損マウスでの神経堤や頭部中胚葉の細胞系譜の変化の有無を観察した。 2. プラコードと神経堤の細胞間相互作用を司る候補因子の探索:野生型マウスのプラコード細胞と神経板細胞をレーザーキャプチャーダイセクション(LCM)法にて単離し、RNAを抽出した。マイクロアレイで有意に発現量の差がある遺伝子を同定した。In situ ハイブリダイゼーション法で発現を同定しつつある。現時点で、プラコード特異的に発現する遺伝子が見いだされていないが、プラコードと神経堤で発現する遺伝子が見つかった。 3. 2.の候補因子の検証-細胞の移動等のリアルタイム解析:1.のエンハンサーは使用できないことが判明したため、蛍光トレーサーを電気穿孔法で導入した胚を全胚培養し、細胞移動を追跡する系を確立しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. の結果は、エンハンサーTgマウススクリーニング時は予想できなかった。当該エンハンサーは、生殖系列でも発現がある、というのが現時点での解釈の1つであるが、当初の計画の目的には使用ができないことが判明した。 2. 特異的シグナルが検出できない遺伝子プローブが多くあり、特異的発現パターンの同定に難航している。現時点で、プラコード特異的に発現する遺伝子が見いだされていないこともあり、今後 in situハイブリダイゼーション法等により特異的発現を調べる候補遺伝子の数を増やす必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 将来的にはTgマウスの再構築を検討する必要がある。 2. 対策として、候補遺伝子の、プローブ作成部位を変えて、新たなプローブ作成のための再クローニングを行う。また、発現を調べる候補遺伝子の数を増やす。同時に in situハイブリダイゼーション法で発現が明確に同定できない場合は抗体染色も検討する。抗体は市販抗体にて行う。 3. 予備的結果から系の確立はほぼ完了した。全胚培養系を用いて、2. の候補遺伝子のsiRNAを胚に導入し、細胞移動に対する影響を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品(試薬、抗体、血清など)、実験補助者の謝金、研究討論・発表のための出張費
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Research Products
(10 results)