2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23590226
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
市村 浩一郎 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10343485)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 秀剛 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80311976)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 足細胞 / 糸球体上皮細胞 / スリット膜 / 足突起 / 体腔 / 中皮細胞 / 比較解剖学 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
足細胞および足細胞関連細胞は多細胞動物において原尿産生装置の主要部を形成し、原尿中へのタンパク質の漏出を防いでいる。多くの動物において足細胞の基本構造は共通だが、形態や発現分子種に様々な修飾がみられる。このような修飾は足細胞を大きな力学的負荷に適応させ、進化に伴い濾過量を増大させるうえで重要な変化(高度化)であったと考えられる。本研究は足細胞が作る濾過バリア構造(スリット膜)の進化・高度化の過程を構成分子種ならびに超微形態の観点から明らかにする。 特に本年度は種々の多細胞動物間において、スリット膜構造を低分子量タンニン酸染色法により作製した透過電顕標本により検討し、動物群間で種々の構造多様性が認められることを明らかにした。哺乳類(齧歯類)の正常な成熟足細胞では、スリット膜は足突起の間を架橋する1枚の膜として認められるが、数種の動物(ヤツメウナギ、アメリカザリガニ)ではスリット膜が多層化している箇所が頻繁に認められた。このようなスリット膜の多層化は、ネフローゼ症候群モデルであるラットのPAN腎症において頻繁に認められることが既に知られている。ネフローゼ症候群の際には、ある種のスリット膜構成分子の発現が低下するので、スリット膜において特定の分子が減少した場合に多層化が生じることが示唆され、ヤツメウナギやアメリカザリガニにおいても特定のスリット膜構成分子が減少・欠損している可能性が考えられる。 また、来年度以降、無脊椎動物におけるスリット膜の立体構造やスリット膜構成分子種を検討することにしており、このために必要となるいくつかの動物種を実験室内で維持できるよう準備を行った。アヤトビムシ類(原始的な昆虫類)、アメリカザリガニ、ナミウズムシ類(扁形動物)は成体を維持することが可能となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に行われた電子顕微鏡施設の移転に伴い、透過電子顕微鏡資料の作製、超薄切、染色、観察が滞ったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も多数の電子顕微鏡資料を観察する必要があるので、当大学の電子顕微鏡専門の技術職員に作業の一部(超薄切、写真現像、写真のデジタル化)を依頼できるようにした。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各種動物におけるスリット膜構成分子の発現を検討するため、RT-PCR法、in situハイブリッド形成法を行う必要があり、研究費の大部分はこれらに必要な消耗品購入にあてる予定である。
|
Research Products
(2 results)