2012 Fiscal Year Research-status Report
スパイン成熟および可塑性を担う新たなリン脂質関連因子の制御機構の解明
Project/Area Number |
23590232
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
謝 敏カク 福井大学, 医学部, 助教 (40444210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 真 福井大学, 医学部, 教授 (10222019)
黒田 一樹 福井大学, 医学部, 助教 (60557966)
猪口 徳一 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特命助教 (60509305)
駒田 致和 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (90523994)
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Keywords | シナプス形成 / LTP / LTD / LL5β / PSD |
Research Abstract |
シナプス形成に関与する蛋白質の異常により学習障害、痴呆や自閉症の精神症状発現が引き起こされることが近年知られるようになってきた。しかしながら、シナプス形成の分子機構の解明自体はいまだ十分ではない。本研究はLL5βのシナプス後肥厚部(PSD)分子複合体への働きを解析し、シナプス形成から成熟に至る分子過程を解き明かし、さらには学習・記憶などの脳高次機能と密接に関わる長期増強(LTP)および長期抑圧(LTD)に対するLL5βの役割を解明することを目的とする。今年度は、昨年度に引き続き、作製したLL5βのノックアウト(KO)マウスを用いて解析を行った。PSD に存在する足場蛋白質であるPSD-95発現vectorを海馬培養神経細胞に導入し、photobleaching 法によりPSD-95の移動速度を検討した。LL5βKOマウスではPSD-95 recovery がWild typeマウスに比較し遅いことを観察した。このことから、LL5βはPSD-95の移動を制御していることを見い出した。また、海馬培養細胞にAMPA型グルタミン酸受容体(GluR2)発現ベクターを導入し、LL5βKO神経では、表在GluR2/総GluR2の発現が減少していることが観察された。さらに、NMDA処理によりLTDをおこすと、LL5βKOマウスでは表在GluR2/総GluR2の発現の減少がWild type マウスに比較しすくないことを観察した。このことから、LL5βはGluR2の局在および化学的LTD誘導後のAMPARのエンドサイトーシスを制御することを見い出した。この現象を電気生理学的に解析し、LL5βKOマウスではLTDが起きにくいことを確認し、LL5βがシナプス可塑性に重要な役割を果たしていることを見い出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、以下の目的を達成した。 1)LL5βKOマウスを用いて、スパイン成熟へのLL5βの役割について検討した。Golgi染色法により、生後2週齢マウスの脳切片を用いて、CA1錐体細胞のスパイン形態変化を検討した。LL5βKOマウスではフィロポディア型やthin型の未成熟型スパインを多数認めた。LL5βはin vivo系にてもスパイン成熟に重要な役割を果たすことが判明した。なお、この結果はin vitro系にて我々自身が得たLL5βをノックダウンした海馬神経細胞のスパインでは、フィロポディアもしくはthin型の未成熟型スパインが増加したとの結果と一致した。 2)LL5βのシナプス後肥厚部(PSD)分子複合体への働きを解析した。LL5βKOマウスにおいてPSD 95の発現量が増加していること、photobleaching 後のPSD-95のrecovery がWild typeマウスに比較し遅いことから、LL5βはPSD-95の移動を制御していることを見い出した。 3)シナプス可塑性について検討した。培養海馬神経細胞にHA-GluR2を発現するベクターを導入し、樹状突起およびスパイン膜表面上におけるGluR2の発現量の変化を検討した。LL5βKOマウスにおいて、表在GluR2/総GluR2の発現が減少していることが観察された。さらにLL5βKOではNMDA処理によりLTDをおこすと、表在GluR2/総GluR2の発現の減少がWild typeマウスに比較しすくないことを観察した。さらに、LL5βはGlluR2の局在およびLTD誘導後のAMPARのエンドサイトーシスを制御することを見い出した。また、電気生理学的に解析し、LL5βKOマウスではLTDが起きにくいことからLL5βがシナプス可塑性に重要な役割を果たしていることを見い出した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度) ①スパインのPSD領域におけるLL5βの分解機構とその意義について検討する。②スパイン形成の各段階で、LL5βの機能をin vivoにて解析する。In vivo系においてTet-Onを利用するRNAi誘導システムを用いて、子宮内電気穿孔法でスパイン形成の各段階でのLL5βの発現を特異的に抑制し、LL5βの機能を解析する。② LL5βノックアウトマウスを用いて、行動テストバッテリーを行うことにより、精神疾患様行動異常や記憶学習障害について解析する。③学会発表および論文を投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウスの海馬神経細胞を培養し、妊娠マウスが高額であり、実験用動物の費用として、平成25年度40万円を計上した。かつ人件費、学会の発表および論文投稿費用として、平成25年度50万円を計上した。
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