2011 Fiscal Year Research-status Report
神経幹細胞の維持・分化制御に関わる転写機構の解析とその神経難病治療への応用
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23590237
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
竹林 浩秀 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60353439)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | Olig2 / リン酸化 / 結合因子 |
Research Abstract |
平成23年度は、主に2つの実験を行った。1つ目は、Olig2のN末におけるリン酸化酵素を同定する目的で、in vitro リン酸化アッセイを行った。GST-野生型Olig2融合タンパクと、N末リン酸化部位に変異をいれたGST-非リン酸化Olig2融合タンパクを精製し、各種リン酸化酵素とin vitroでインキュベーションを行った。GST-野生型Olig2に、より多くのリン酸基を付加するリン酸化酵素を複数同定することができた。現在、N末リン酸化の生理学的意義を調べるために、ニワトリ胚におけるエレクトロポレーション法を用いた遺伝子導入実験を行っている。2つ目は、Olig2転写因子が働く分子メカニズムを明らかにするために、Olig2結合因子の解析を行っている。野生型Olig2あるいは 非リン酸化型Olig2との免疫沈降実験により、野生型Olig2に強く結合するもの、非リン酸化型Olig2に強く結合するもの、両方に効率よく結合するものに分類できることがわかった。これらの因子との相互作用が細胞分化に果たす役割を解析している。また、一つのOlig2結合因子に着目し、その遺伝子のノックアウトマウスを作製したところ、進行性の神経症状を示すことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リン酸化酵素の同定、さらには、Olig2転写因子の同定と解析がおおむね順調に進展している。進行性の神経症状を示す新たな遺伝子改変マウスを作製できたので、その病態解析を行うことにより、研究の新たな展開が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、ニワトリ胚におけるエレクトロポレーション法を用いた遺伝子導入により、Olig2転写因子のN末におけるリン酸化の生理学的意義を探る。また、Olig2とそれぞれのOlig2結合因子の相互作用が神経幹細胞からの分化制御にどのように関わっているかについて、解析を進める。進行性の神経症状を示すOlig2結合因子のノックアウトマウスについては、この神経症状が神経幹細胞の分化制御異常によるものかどうか、現在解析を進めている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
組織学解析および分子生物学消耗品が主な使途である。その他としてマウス購入・飼育費用を計上した。さらに、学会発表のための旅費、および謝金を計上している。
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