2012 Fiscal Year Research-status Report
細胞外シグナルが多細胞体制の構築に関わる機構の解析
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23590243
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
門谷 裕一 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (10185887)
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Keywords | 分枝形態形成 / 唾液腺 / ミオシン / 細胞運動 / 器官培養 |
Research Abstract |
1)各種細胞機能を調節している細胞内シグナル系のうち、細胞運動や細胞形態と直接関わるRho-ROCK-Myosin系に焦点を絞り、阻害剤を用いてこれに関わるシグナル分子の活性を阻害し、分枝形態形成に及ぼす影響を精査した。胎生13日マウス顎下腺器官培養にROCK阻害剤のY27632(20μM)、ミオシンII阻害剤のML-7(20μM)、ブレビスタチン(7.5μM)を添加したところ、いずれの阻害剤も、新規のクレフト形成を大きく阻害した。これら阻害剤の効果が上皮組織への直接の作用か否かを確認するために、上皮単独培養で各阻害剤の効果を調査した。酵素処理により分離した胎生13日顎下腺上皮をマトリゲルに包埋しEGFとFGF7存在下で上皮単独培養した。コントロールでは、培養2日後に8-15個の伸びだした柄の遠位端に球形の終末集塊が観察されたが、Y27632、ブレビスタチン、ML-7 はいずれもブランチングの進行を阻害した。この際の上皮の形態は、いずれの阻害剤で処理された場合も良く似ており、4-7個の太く短い柄と、それぞれの遠異端に大きな終末集塊を持っていた。以上より、Rho-ROCK-Myosin系は上皮組織に直接作用して新規のクレフト形成とかかわることが示された。 2)分枝形態形成時の上皮細胞の移動や変形におけるRho-ROCK-Myosin系の働きについて、23年度に開発した細胞形態の客観的定量的評価法を用いて検討した。分枝形態形成に明瞭な阻害効果を与える濃度のML-7存在下では、それぞれの上皮細胞の移動のパターンに若干の変化を伴うものの、細胞の移動は停止しなかった
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)24年度研究計画(1)のうち、1)ROCK阻害剤(Y-27632)、2)ミオシンII阻害剤(ML-7、ブレビスタチン)についての検討を開始することが出来た。 2)EGF系とFGF系と上皮細胞の運動や形態の関わりの解析は実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画した唾液腺上皮系細胞の挙動を自動的にグラフ化する試みは、動画からの特徴点の抽出作業をマニュアルで実施せざるを得ず、これに時間がかかる。そこで、当初研究計画のうち、EGF系とFGF系と上皮細胞の運動や形態の関わりの解析は、本年度以降見送ることとし、Rho-ROCK-Myosin系に研究の焦点を絞ることとする。本年度の目標としては、昨年度未検討であったブレビスタチンとY27632について、これらによる細胞運動の変化を客観的定量的に評価法し、分枝形態形成との関連性を検討するものとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
電動マニピュレーターとマイクロフォージの購入を見送り、EPTTL法による動画作成をより効率よく実施するための顕微鏡用インキュベーター(1,850,000)を備品として購入する。この他、25年度交付研究費と前年度からの繰り越し分より実験動物の購入(300,000)、試薬(100,000)、培養用試薬(100,000)、成果発表のための国内旅費(100,000)、成果発表のための海外旅費(200,000)として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)