2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞外シグナルが多細胞体制の構築に関わる機構の解析
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23590243
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
門谷 裕一 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (10185887)
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Keywords | 分枝形態形成 / 唾液腺 / 非筋ミオシンII / 細胞運動 / 器官培養 / フォーカルアドヒージョン |
Research Abstract |
1.25年度の目標であった唾液腺分枝形態形成過程でのRho-ROCK-Myosin系の役割の解析について、2種類の非筋ミオシンII(NMII)阻害剤(ML-7とブレビスタチン(Breb))を唾液腺器官培養系に添加し、それぞれによる細胞運動能の変化を前年度までに確立した方法で客観的に評価した。NMII阻害剤は、唾液腺上皮細胞の分枝形態形成時に観察される特徴的な細胞運動の方向性に影響を与えず、細胞移動の速さを促進する傾向があることが判った。 2.23年度に開始した分枝形態形成に関わる分子機構の解明を継続して実施した。NMII阻害剤の作用機序を足がかりとし、胎仔顎下腺より酵素処理で分離した上皮細胞の初代培養での、NMII、アクチン線維、フォーカルアドヒージョン(FA)の局在や発現パターンをBreb処理の有無で比較した。この結果、Breb処理により培養顎下腺上皮細胞のストレスファイバーやFAが消失するとの新知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.2種類の非筋ミオシンII(NMII)阻害剤(ML-7とブレビスタチン)を唾液腺器官培養系に添加し、分枝形態形成過程での上皮細胞の運動能を比較検討することが出来た点で当初の研究計画に沿った進捗が見られたから。 2.あらたに、唾液腺上皮細胞の初代細胞培養系に阻害剤を添加し細胞骨格や細胞接着関連成分の発現様式の変化を検討し、Rho-ROCK-Myosin系とフォーカルアドヒージョン形成との関連性を示すことが出来、当初の計画にはなかった新たな展開が見られたから。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、ストレスファイバーやフォーカルアドヒージョン(FA)の形成に関わる分子(ビンキュリンやFAキナーゼ)の局在をクレフト形成との関連で精査する。その際、通常の組織切片の免役組織化学では初期のクレフトの同定が困難なため、ガラスボトム培養皿上で培養した唾液腺原基をもちいたホールマウント蛍光抗体法により調査するものとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画の見直しにより、予定していた試薬(成長因子と阻害剤)の一部の購入を見送ったことと、海外の学会での研究成果発表を見合わせたため。 前年度交付分の繰り越しと26年度交付研究費は、実験動物の購入(¥300,000)、試薬(¥250,000)、特異抗体購入費用(¥200,000)、培養用プラスチック皿(¥200,000)等の消耗品と共に、研究成果発表のための旅費(国内の学会2回¥100,000ならびに海外の学会1回¥200,000)、研究論文投稿費ならびに英文校閲の費用(2編計¥150,000)として使用する予定。
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