2011 Fiscal Year Research-status Report
末梢感覚系に強発現するケモカインCXCL14の生理機能の解明
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23590247
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
重田 暁子 近畿大学, 医学部, 助教 (50420435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
義江 修 近畿大学, 医学部, 教授 (10166910)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | CXCL14 / BRAK / ケモカイン / 毛包 |
Research Abstract |
CXCL14/BRAKは、正常組織では広く発現するものの癌由来細胞株では発現が消失する恒常性ケモカイン分子としてクローニングされたCXCケモカインである。CXCL14は受容体未知のケモカインであり、標的細胞種についてもほとんどわかっていない。これまでのCXCL14欠損マウスを用いた研究では、期待されたランゲルハンス細胞やT細胞等の免疫担当細胞の動員・分布に異常は報告されていない。本研究では、ケモカインCXCL14の生理機能を明らかにすることを目的として、新しくCXCL14欠損EGFP導入マウスを作出した。このマウスの解析により、CXCL14が顔面洞毛の毛包、手掌、足裏、耳介、舌の味蕾にきわめて強く発現することを見いだした。そこで、洞毛の毛包部位ついて詳細に解析したところ、CXCL14の発現は、毛包のうち特に外毛根鞘最外層に限局して強く認められた。また、CXCL14タンパク質も同様の領域に確認された。 次に、洞毛におけるCXCL14発現が発生過程のどの段階からみられ、発生・分化に関与するかを検討するため、CXCL14ヘテロマウス胚を用いて経時的に観察した。その結果、CXCL14は洞毛の毛包部位の発生と同時期に発現を開始することが明らかとなった。洞毛、手掌、足裏、耳介、舌といったこれらの領域は、末梢神経系の感覚器系として重要な役割りを果たしていることから、CXCL14の発現パターンは感覚神経機能との関わりが強く示唆される。このように、本研究の結果から、これまで予想されていなかった末梢感覚神経系の発生・発達および機能におけるCXCL14の役割りが示唆されるようになってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題における研究目的の達成度については、おおむね順調に推移している。マウス洞毛の毛包に発現するCXCL14の機能については、毛包部位のEGFP発現細胞を指標として免疫組織化学染色を行い、毛包のうちどの細胞にCXCL14発現が認められるかを明らかにした。また発生段階においてCXCL14の発現がいつから開始されるかについてCXCL14ヘテロ胚を用いて明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究の推進方策については、引き続きマウス洞毛の毛包に発現するCXCL14の機能の解明を進めるとともに、CXCL14の末梢感覚神経および中枢神経系に及ぼす影響の解析を進めることを目的として、脳におけるCXCL14発現細胞腫の同定およびその性状の解析を行い、また、Fcキメラ蛋白質を用いたCXCL14受容体の探索を強力に推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に購入予定であったタンパク質工学関連試薬の購入は研究の推進具合に鑑みて、次年度に行うこととした。また、細胞免疫染色関連試薬のうち抗体の一部は、納品に時間がかかることが判明したため、これも次年度購入分として予算を繰り越して使用することとなった。次年度の研究費の使用にあたっては、当初の計画通り動物関連、組織・細胞免疫染色関連、細胞培養関連およびタンパク質工学関連について行う。
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Research Products
(4 results)