2011 Fiscal Year Research-status Report
タイト結合構成膜蛋白クローディンの対合形成と細胞間透過性の解析
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23590249
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
稲井 哲一朗 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00264044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 英司 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40380620)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | タイト結合 / クローディン / 細胞間透過性 |
Research Abstract |
タイト結合(TJ)構成膜蛋白claudin (cldn)は4回膜貫通蛋白で2つの細胞外ループを持ち、trans-interactionにより対合する。24種あるcldnは、対合できない組み合わせがある。細胞の癌化でcldnの発現パターンが変化し、癌の予後との関連を示唆する報告が最近相次いでいる。癌化により対合できないcldnの比率が増し、TJの細胞間透過性が障害されることが一因であると考えている。本研究では異なるcldnを発現するHEK細胞を共培養して、この対合形成に関与する領域を絞り込む。その後、候補のアミノ酸配列に対する変異体を作成して対合形成への関与を確認し、対合形成のメカニズムとTJの機能との関連を調べる。cldn-10には10aと10bというisoformがある。両者のアミノ酸を比較すると、ECL1が第二膜貫通領域に移行する直前までは両者のアミノ酸配列は異なるが、それ以後のアミノ酸配列は全く同じである。そこで、cldn-10aと-10bを使って、TJの形態、機能(細胞間透過性)、cldn分子間の相互作用の違いを解析して、ECL1の機能を調べる。 マウスの腎臓のtotal RNAを鋳型として、タイト結合膜蛋白cldn-1, -2, -10b, -10aのcDNAをRT-PCR法でクローニングし、シーケンスにより配列を確認した。これらのcldn遺伝子のN末端に緑色または赤色蛍光蛋白(EGF, PRFP)を付与し、pTREM-EGFP-cldn-10a, -10b、pTREM-RFP-cldn-1, -2, -10b vectorを構築した。これらの発現ベクターを、タイト結合を形成しないHEK293細胞に導入して安定発現細胞を取得し、発現と局在を共焦点レーザー顕微鏡で確認した。これらすべてが、細胞間接着部位に局在することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
cldn-10には10aと10bというisoformがある。両者のアミノ酸を比較すると、ECL1が第二膜貫通領域に移行する直前までは両者のアミノ酸配列は異なるが、それ以後のアミノ酸配列は全く同じである。そこで、cldn-10aと-10bを使って、TJの形態、機能(細胞間透過性)、cldn分子間の相互作用の違いを解析して、ECL1の機能を調べることが本研究の目的である。この研究的を達成するために、平成23年度には、EGFP-cldn-10a, EGFP-cldn-10b, RFP-cldn-1, RFP-cldn-2またはRFP-cldn-10bを発現するHEK293細胞(タイト結合を形成しない)を作成する計画であった。HEK293細胞において、EGFP-cldn-10a, EGFP-cldn-10b, RFP-cldn-1, RFP-cldn-2およびRFP-cldn-10bは、細胞間接着部位に局在した。現在はイムノブロットによる分子の大きさの確認をしており、ほぼ当初の実験画通りに研究が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.HEK293細胞によるTJの形態の解析:平成23年度に作成したEGFP-cldn-10aを発現するHEK細胞を用いて、フリーズフラクチャー法でTJの形態を解析する。これにより、タイト結合の形態(膜内粒子の付着様式)が、ECL1のアミノ酸配列の違いで変化するかどうかを確認する。2.HEK293細胞の共培養によるcldn分子間の対合の解析:(1)RFP-cldn-1とEGFP-cldn-10a、(2)RFP-cldn-1とEGFP-cldn-10b、(3)RFP-cldn-2とEGFP-cldn-10a、(4)RFP-cldn-2とEGFP-cldn-10b、(5)RFP-cldn-10bとEGFP-cldn-10a、という組み合わせで共培養して、cldn分子間の対合形成を解析する。3.MDCK I細胞およびMDCK II細胞での細胞間透過性の解析:MDCK I細胞のTER (transepithelial electrical resistance) はMDCK II細胞のTERより10倍以上大きい。また、両細胞はcldn-1, -3, -4, -7を発現するが、MDCK II細胞はさらにcldn-2を発現する。これらの細胞にEGFP-cldn-10aまたはEGFP-cldn-10bを発現して細胞間透過性を調べる。平成24年度は、EGFP-cldn-10aまたはEGFP-cldn-10bを発現する細胞を樹立する。4.ECL1の変異体による解析:cldn-10aとcldn-10bのECL1のアミノ酸を置換して、TJの形態、cldn分子間の対合、細胞間透過性に対する影響を調べる。平成24年度は、変異を導入したldn-10aまたはcldn-10bの発現ベクターをPCRを用いて樹立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究経費(直接経費)は、1,790,000円を予定している。(1)物品費:cldn-10aとcldn-10bのECL1のアミノ酸に変異を導入して、TJの形態、cldn分子間の対合、細胞間透過性の変化を調べて、TJの形態、cldn分子間の対合、細胞間透過性に関与するアミノ酸配列を同定する。変異の導入にはPCRで行うが、その際にグラジエント機能のついたPCR装置があれば、一度のPCRで8通りの温度条件を調べることができて、大変有効である。そこで、Bio-Rad社製、T100サーマルサイクラー(税込み483,000円)を購入する。ウェスタンブロットで、サンプルのタンパク量をBCAを用いた吸光度で測定する。そのために、eppendorf社製、BioPhotometer plus(税込み410,550円)を購入する。免疫染色時に使う振とう装置としてTAITEK社製、小型振とう機ダブルシェーカーNR-3(税込み207,900円)を購入する。機器の総計が1,101,450円となる。培養器具、試薬、抗体などの物品費で588,550円を計上する。研究成果を学会で発表するための旅費として、100,000円を計上する。謝金は0円を計上する。
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Research Products
(5 results)