2012 Fiscal Year Research-status Report
線条体ネットワークの状態遷移に対する自発カルシウムリズムの寄与
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23590255
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小山内 実 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90286419)
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Keywords | カルシウムオシレーション / 大脳基底核 / カルシウムイメージング / ニューロン・グリア相互作用 / 代謝型グルタミン酸受容体 / IP3 受容体 / 小胞体 / カルシウム依存性カリウムチャネル |
Research Abstract |
線条体で発見された非常に遅い時間経過を持つ自発カルシウムリズムの発生機構およびその機能を解明するために、イメージング実験、シミュレーション実験を行い、以下の成果を得た。 i) 自発カルシウムリズム発生メカニズムの同定 IP3 受容体の阻害、代謝型グルタミン酸受容体 5 型の阻害により、自発カルシウムリズムが抑制された。このことから、代謝型グルタミン酸受容体- IP3 受容体のシグナル伝達経路が自発カルシウムリズムの発生に関与していることが明らかとなった。また、この自発カルシウムリズムは細胞間で同期していることを見出した。この同期回数は活動電位の阻害により減少した。このことは、本研究で対象としている遅いカルシウム濃度変化でも細胞間で同期していることを示しただけでなく、活動電位依存性のプロセスが、自発カルシウムリズムを調節していることを示唆している。 ii) モデル細胞を用いた calcium-clamp シミュレーション実験 自発カルシウムリズムはカルシウム依存性カリウムチャネルを介して、ニューロンの発火特性を変化させていることが考えられる。この仮説を検証するために、生理学的に尤もらしい線条体投射ニューロンモデルを作成し、実験で得られた自発カルシウムリズムの時系列データにより細胞体のカルシウム濃度を固定する “calcium-clamp” シミュレーションを行った。平成 24 年度は昨年度作成したモデル細胞に、発火に伴う細胞外からのカルシウム流入、細胞内でのカルシウム拡散、さらに、そのカルシウムの排出機構等の、細胞内カルシウムダイナミクスに関わる分子機構をモデル細胞に導入した。その結果、自発 カルシウムリズムがカルシウム依存性カリウムチャネルのうち、SK チャネルを介して、ニューロンの発火特性を変化させていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究計画のうち、「カルシウムリズムとドーパミンとの関係の解明」及び「自発カルシウムリズムと細胞の入出力特性との関係の解明」以外は全て達成した。特に、自発カルシウムリズムに関与している代謝型グルタミン酸受容体のタイプを薬理学的に決定したこと、自発カルシウムリズムに細胞間の同期があることを見出したことの意義は大きく、論文投稿を行った。 これに加えて、上述の未達成の課題も現在進行中であるため、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究をさらに進めると共に、以下の研究を行う。 ・線条体における自発カルシウムリズムとドーパミンとの関係の解明 カルシウムリズム計測と同時に炭素電極によるドーパミン量測定を行い、ドーパミンと Ca2+ リズムとの関係を精査する。 ・自発カルシウムリズムと細胞の入出力特性との関係の解明 細胞内カルシウムの状態により、細胞の静止膜電位あるいは入出力特性が変化することを検証するため、多細胞カルシウムイメージングと同時に、パッチクランプ法を用いて、静止膜電位、発火頻度などの入出力特性、皮質-線条体間シナプス伝達を計測し、細胞内カルシウム濃度と、ニューロンの活動性及び入出力特性との関係を明らかにする。なお、ホールセルパッチにより、自発カルシウムリズムが消失する場合は、ルーズパッチによる活動電位計測法を用いる。なお、これらの電気生理実験は、これまで得られたシミュレーション実験結果を基に計画し、細胞内カルシウムが神経ネットワークの状態遷移どのように関わるのかの解明を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(24 results)