2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経伝達物質放出カルシウムセンサーの膜融合タンパク質複合体からの解離
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23590259
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西木 禎一 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70423340)
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Keywords | 神経科学 / 刺激分泌連関 / シナプス小胞 / カルシウムイオン / 開口放出 |
Research Abstract |
神経伝達物質放出の分子機構を理解するため、カルシウムセンサーシナプトタグミンとスネア膜融合複合体の相互作用を解明することが本研究の目的である。前年度までに私達は、シナプトタグミンとスネア複合体の結合が、生理的温度においてカルシウム依存性に解離すること、組換えシナプトタグミンは脳から精製したスネア複合体とカルシウム非存在下で結合しカルシウム濃度依存性に解離すること、両者の解離にはシナプトタグミンの二つのカルシウム結合ドメインのうち、C2AではなくC2Bへのカルシウム結合が重要であることを見いだした。 Tスネアはシナプス前膜にVスネアはシナプス小胞膜に存在する。そのため小胞ドッキング後、スネアは膜近傍領域が離れたトランス型複合体を形成し、膜融合後シス型へと移行する。溶液中ではシス型が再現できるのみである。そこで、今年度はリポソームに再構成したスネアを用いてシナプトタグミンが膜融合前のトランス型に結合するか解析した。大腸菌で発現させた組換えVスネアとTスネアを精製後、透析法により別々に再構成したリポソームを融合が生じないよう4℃で混和しトランス型複合体を形成させシナプトタグミンと反応させた。密度勾配遠心後、上層に回収されたリポソームをイムノブロッティングにより調べたところ、シナプトタグミンはトランス型スネアに結合し、Ca2+により解離することが分かった。以上の結果から、ドッキングした小胞とシナプス前膜間に形成されたスネア複合体にシナプトタグミンが結合することが示唆される。シナプトタグミンの結合がスネアの働きを抑制するならば、Ca2+による解離により抑制が解除され、伝達物質が放出されると考えられる。
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