2013 Fiscal Year Annual Research Report
二重還流モデル腎集合管細胞を用いたイオンチャネル発現の分子制御機構
Project/Area Number |
23590264
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
久保川 学 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70153327)
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Keywords | 腎集合管 / Kチャネル / ROMK / 遺伝子導入 / チャネル発現 / M-1細胞 |
Research Abstract |
培養マウス集合細胞であるM-1細胞では、ROMK1遺伝子導入によるKチャネル活性の発現は、極性のない単一細胞よりも極性を有する二重還流細胞の管腔膜に多いことを見い出した。しかし、この発現はC末端に標識のためのEGFPを連結させたROMK1の発現であり、C末端に存在する膜結合部位を阻害していた可能性がある。細胞膜への蛋白発現にはPDZドメインが重要であると考えられており、PDZへの結合部位はC末端に存在することが知られている。即ち、C末端にEGFPを連結させるとPDZ結合部位を阻害し、ROMK1の発現を抑制していた可能性がある。そこで、EGFPをROMK1のN末端に連結させて発現実験を行った。その結果、N末EGFPのROMK1では単一細胞、および二重還流細胞管腔膜ともに高頻度にROMK1 Kチャネル活性の発現を認めるようになった。このことは、PDZ結合部位が正常であれば、ROMK1 Kチャネルはいずれの細胞膜にも発現し得ることを示していることになる。しかし実際には、ROMK1 Kチャネルはin vivoでは集合管主細胞の管腔膜に発現する特性がある。この結果は、PDZが存在すれば、その発現に細胞膜選択制がないことを示唆しており、in vivoでの報告と矛盾する。そこで次に、PDZ結合部位をC末端より除いたROMKΔPDZbを作成し、発現実験を行った。その結果、ROMKΔPDZbは単一細胞での発言は弱いが、極性のある管腔膜には高頻度で発現することを見い出した。即ち、ROMK遺伝子の単一細胞への発現にはPDZが重要であるが、管腔膜への発現にはPDZを必要としないことが示唆された。これらの結果は、もしROMK1に対するPDZドメインがM-1細胞の膜には存在していないと考えると、in vivoのように、管腔膜に限局して発現することを説明することができる。今後、さらに検討したい。
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Research Products
(8 results)