2011 Fiscal Year Research-status Report
AMPキナーゼが消化管粘膜において細胞増殖および極性形成に果たす役割
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23590272
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
稲垣 匡子 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (70363588)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | AMPK / 消化管 / 高脂肪食 / 極性 / 免疫 |
Research Abstract |
肥満における胃粘膜での細胞増殖・細胞極性にレプチン並びにそのシグナル分子であるAMPKがどのように寄与するのか、その過程でサイトカインや免疫担当細胞がどのように働くのかを明らかにする目的で、高脂肪食を摂食させ 高レプチン血症亢進状態にあるマウスを用い、胃粘膜における細胞増殖・細胞極性・構造維持に必要な細胞内シグナルを解析を行った。平成23年度は高脂肪食摂取による胃粘膜の形態変化をin vivoで詳細に調べた。C57BL/6マウスに60%高脂肪食を自由摂取させた結果、摂食後3週間目から胃粘膜上皮の過形成が認められた。それと同時に細胞増殖マーカーである Ki67陽性細胞の増加、E-cadherinなどのjunction分子の発現低下、レプチン、OBRb および STAT3のリン酸化の亢進が認められた。AMPKのリン酸化シグナルは摂食後8週以降に安定して検出された。摂食3週以降に炎症性浸潤細胞が胃粘膜に多く検出され、それに伴い炎症性サイトカインの産生も増加した。また、Ob/ob マウスとdb/dbマウスは普通食においても胃上皮過形成を示したが、高脂肪食摂取において普通食摂取群と病理像の有意な変化はなかった。 高脂肪食摂食後3週間目の腸上皮細胞で分化マーカーのmRNAレベルが上昇し、腸型の粘液も多く産生することから、高脂肪食による胃上皮細胞が腸型に変化していることが強く示唆された。これらの結果は、最近、肥満に陥ると動脈硬化や糖尿病だけでなく胃癌の危険性も高まることが報告されているが、そのメカニズム解明に踏み込むものと考えられる。さらに胃粘膜おけるAMPKの機能をさらに解析するため受精卵前核へのマイクロインジェクションと偽妊娠マウスへの移植を終了し、現在 T3b-CA-AMPKα1 Tg ライン化の作製の最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は交付申請書の「研究目的」に 記載した内容について、組織学的、生化学的および免疫学的解析をほぼすべて行った。さらに T3b-CA-AMPKα1 Tg ライン化の作製も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
レプチンシグナルの亢進により胃上皮過形成が起こるが、ob/ob マウス、db/dbマウスでは普通食でも胃上皮過形成が認められたことから、消化管特異的ObR欠損(T3b-ObR cKO)マウスを作製する必要が生じた。ObR loxPマウスをジャクソンラボラトリーより購入する計画をたてた。しかしこのstrainは胚凍結から個体化しなければならずそのための時間を要し、24年度に研究費を持ち越すことになった。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
T3b-ObR cKO マウスの作製によりob/ob マウス、db/dbマウスと比較し消化管特異的なレプチンシグナルの応答がより詳細に調べることができる。またレプチンシグナルが遮断されることによりAMPKの活性化、細胞極性および消化管機能にどのような影響がでるのか、さらにT3b-AMPK Tgマウスと比較することで消化管レプチンシグナルにおいてどの段階でAMPK活性が重要であるか調べていく予定である。
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Research Products
(1 results)